紅白の「81.4%」は現代では不可能…世帯人数の激減で激変した、視聴率の「計算式」と「価値」

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世帯視聴率は空洞化

 この曖昧な世帯視聴率に待ったをかけた人たちがいる。スポンサーである。日本アドバタイザーズ協会(JAA)という団体を組織している。JAAは個人視聴率の導入を強く望んだ。観ていた人の数や性別、年齢などが分かると、効果的にCMを流せるからだ。

 2020年3月の個人視聴率の導入により、年齢別の視聴率も容易に出せるようになった。代表的なのがコア視聴率(13歳から49歳までのの個人視聴率)である。この数字が高い番組のCMは高く売れる。コア世代は物をよく買い、行動も活発だから、スポンサーにはありがたいのだ。

 コア世代を狙ったCMは多い。転職斡旋会社、ゲーム会社、携帯会社、テーマパークなどのCMが目立つと思った人は少なくないはずだ。

 一時、日本テレビ「世界の果てまでイッテQ!」(日曜午後7時58分)が終了するという報道が相次いだ。世帯視聴率が10%を割ったからだ。だが、日テレはどこ吹く風だった。

 まず世帯視聴率はどの局も使っていない。さらに、「イッテQ」はテレビ界で屈指のコア視聴率を誇る。だからテレビ界内では「日本で一番儲かっている番組」と言われている。コア視聴率が下がらない限り、終わるはずがないのだ。

 現在、民放の収益レースはコア視聴率を中心に回っている。だから個人視聴率でトップのテレビ朝日より、コア視聴率で1位の日テレのほうがCMの売上高は上だ。

 空洞化する世帯視聴率は、いつまで視聴者の目に触れるのだろう。

高堀冬彦(たかほり・ふゆひこ)
放送コラムニスト、ジャーナリスト。1990年にスポーツニッポン新聞社に入社し、放送担当記者、専門委員。2015年に毎日新聞出版社に入社し、サンデー毎日編集次長。2019年に独立。前放送批評懇談会出版編集委員。

デイリー新潮編集部

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