箱根駅伝で「東大リレー」を実現させた秋吉拓真選手 “最後の箱根”の先に見据える驚きの“二刀流”進路

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「東大リレー」を実現させたライバルが心の支えに

「入学した頃は、『4年生で、箱根を走れるレベルの選手になれたら……』と思っていましたが、2年生の夏頃からだんだん力がついてきた感覚があったので、本大会に出られないことを理解しつつ、力試しのつもりで予選に出場したんです。すると思わぬ好タイムで走ることができて。『箱根駅伝で勝負出来る選手になる』という1段階上の目標を設定し、1年間過ごすことに決めました」

 新たな目標を掲げた秋吉選手のさらなるレベルアップを後押ししたのが、当時は大学院の博士課程に在籍し、前回大会で秋吉選手との「東大リレー」を実現させた古川大晃選手の存在だった。

「それまでは高いレベルで競い合える選手が身近にいなかったので、身近にいらっしゃる一番速い大先輩の背中を追って競技に取り組めたことは、僕にとっても大きかったと思います」

 予選会の翌月に行われた10000メートルの記録挑戦競技会では、29分32秒57の古川選手に対し、秋吉選手は28分49秒27で応戦し、見事に勝利。その頃から互いをライバルとして認め合うような存在に。一緒に練習で切磋琢磨しながら互いを高めあった。

悔しさと楽しさを味わった箱根駅伝

「緊張感のある中で練習に取り組めたことで、タフなランナーになれたと思う」と話す秋吉選手は、2024年の予選会に古川選手と共に出場。この時は65分17秒(総合60位)の古川選手に力及ばず。65分30秒(総合77位)でゴールテープを切り、秋吉選手は「タイムを伸ばせなかったのが、個人的には反省点で、悔しさは残った」とレースを振り返ったが、古川選手と共に学生連合のメンバーに選出され、箱根の出場権を手にした。

「これまでに経験したことがないほどの大観衆が沿道に詰めかけて応援してくださるので、本当に走っていて楽しかったですが、記録の面では悔しさが残りました」

 関東学生連合の一員として、平塚から戸塚までの復路8区を任された秋吉選手は、難所として知られる遊行寺の坂や、その後の上りが続くコースを、64分45秒の区間7位相当で走り抜けた。

 9区を走る古川選手との「東大リレー」も実現した。トップ選手の通過から20分経過すると「繰り上げスタート」となり、襷が途切れることとなるが、秋吉選手は「アクシデントに巻き込まれなければ、絶対に襷は繋がると思っていましたし、区間上位で走り切るつもりだった」と強気な走りを見せた。

 前との差を少し広げられてしまったことに若干の悔しさを感じつつも、苦楽を共にしてきたライバルと襷を繋いだ印象的なレースを「とにかく楽しかった」と振り返る秋吉選手は、長年の目標にしていた箱根駅伝出場を成し遂げて、「ランナーとしてさらに上を目指したい」とその決意を新たにした。

 今年5月のルール変更により、学生連合チームで2回まで本大会への出場が可能になった恩恵もあり、最高学年を迎えた秋吉選手は自身二度目、そして学生生活最後の箱根駅伝に挑もうとしている。

「昨年のレースを振り返ってみると、だんだん『自分としてはもう少しやれたんじゃないか』という思いが込み上げてきて、さらにレベルアップした姿を見せられたらなと思っています。僕がこのような形で大会に出られるのは、古川さんのようなチームメイトや、さまざまな形で支援してくださる皆さんのおかげだと思っているので、少しでも『楽しい』と感じてもらえるような良い走りを見せられたらと思います」

 そう意気込む秋吉選手の学生最後の勇姿に注目だ。

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