「お葬式の費用くらいは自分で用意して…」の落とし穴 「葬儀トラブル」激増のウラで数十万円もの「高額オプション」上乗せ問題

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年間1000件近い苦情が殺到

 国民生活センターによれば、「葬儀」にかかわる相談が2024年度に978件を数え、過去最多を更新した。

 大半は料金設定に対する苦情だ。最近の事例として、「ホームページを見て連絡し、説明を受けて契約したところ、ホームページ記載の金額よりも高額になった」「葬儀会社からよく説明されず余計なオプションを付けられた」等が挙げられている。

 今秋に亡父の葬儀を営んだ都内在住の女性(60代)も、憤慨している一人だ。

「父は生前、大手葬儀会社の互助会に入り、45万円の積み立てを終えて『お葬式代は大丈夫だから』と言っていました。家族葬を予定していたし、お金はほとんどかからないと思ってホッとしていたのです」(女性)

 施設に入っていた父親を看取り、医師の死亡診断を終えたのが昼過ぎ。女性が大手葬儀会社に電話すると互助会会員であることが確認され、2時間後に寝台車が迎えに来た。「葬儀のご相談を」と言われたため、自分の車で葬儀会社へ向かって、父親の遺体が安置された部屋で担当の男性社員と向き合った。

「最初に検討したのは葬儀の日取りで、6日後に火葬場の予約が取れると、担当者は『ではご詳細を……』と言って、葬儀見積書を机の上に置いて説明をはじめたのです。

 見積書は、上から順に『お棺』『霊柩車』『ドライアイス』『ご遺影』……と項目と料金が並んでいましたが、多くは、父が加入していた45万円の積み立てコースには含まれていないものだったのです。しかも、1つ1つが明らかに割高でした」(女性)

ドライアイス代が「6万6000円」

 例えば、施設から遺体を搬送した際の「シーツ代」が5500円。葬儀まで遺体を保管する時に使用する「ドライアイス代」が6日分で6万6000円。遺体の保管料は会員価格で割引されたが、それでも2万2000円。

 女性の母親と弟が父親を看取れなかったため、湯灌(納棺前に遺体を湯で拭き清めること)を希望すると、1時間で終えるものに11万円……と、次から次へと料金が上乗せされた。

 中でも、女性が疑問に思ったのは「式場使用料」と「人件費」だった。

 葬儀の場所は、「自宅」「葬儀会社の式場」「火葬場での葬儀」の3通りが示された。自宅で行えば遺体の搬送、設営等で料金がかさむ。火葬場は葬儀料が高く、都内の葬儀会社による予約で埋まっていて予約が取りにくいと言われ、半ば誘導されるように葬儀会社の式場に決まった。

 葬儀は午前10時から1時間ほどで終えるが、式場使用料は会員価格で割り引かれて16万5000円。加えて「セレモニースタッフ」の人件費が3万3000円。

「葬儀代として45万円も前払いしたのに、葬儀会社の式場を利用する料金は別だなんて思いもよりませんでした。しかも当日、セレモニースタッフを外から呼んだわけではなく、女性社員が1人、付き添っただけです。通常の業務時間中で、1時間で3万3000円の人件費をこちらが負担するのはおかしくないでしょうか?」(女性)

 45万円のコースに含まれているが、その“標準装備”では父親が可哀そうで、オプションにせざるを得ないものも多かった。

「父に着せる仏衣はペラペラの浴衣だったため、オプションに替えて2万7500円。祭壇に飾るお花は、“それだけでは寂しく、普通はご遺族が供花されます”と言われ、仕方なく応じると供花代は3万9600円でした」(女性)

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