過去にオンラインカジノのアフィリエイトでボロ儲け 「違法ウェブコイン」をアミューズメントカジノにばら撒いた「日本のポーカー王」の正体
最近、アミューズメントカジノ業界を騒然とさせている「ウェブコイン」。警察から違法性が問われているこのスキームを考案したのが、日本最大のポーカー大会「ジャパンオープンポーカーツアー」(JOPT)の創始者・薮内常弘氏である。薮内氏は裸一貫からこの業界を一大産業に育てた「日本のポーカー王」とも言われる人物だ。(全3回の第2回)
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第1回【「1日で100万負けた」「クレカがパンク」の悲鳴 “適法”ポーカー大会で若者たちが「ギャンブル地獄」に 賞金「現金1億円」を掲げ海外カジノに誘導する大会も】からの続き
【写真】アミューズメントカジノ業界を一代で創りあげ、「オンラインカジノ」と「違法ウェブコイン」を普及させた「日本のポーカー王」
たった2晩で「750万円負けた会社員」
「今は代表の座を降りていますが、ウェブコインは私が始めたことなので私が責任を持って取材に答えます。なんでも聞いてください」
薮内氏はこう言って、新宿区市ヶ谷に構える「ハンターサイト」本社内の個室に記者を招き入れた。ハンターサイト社はJOPTグループの中核企業である。
インタビューしたのは今年4月。発端は、今年1月に六本木で発生した「違法ポーカー賭博」だった。20代のサラリーマンが六本木のアミューズメントカジノ店で、たった2晩の間に750万円負けて支払いができなくなったばかりか、「違法賭博で作った借金なので返済義務はない。踏み倒します」と居直ったのである。実際、男性が麻布警察署に店側の違法性を訴え出る「警察沙汰」にもなった。
男性が賭けの対象となっていたと明かしたのが「ウェブコイン」と呼ばれるデジタル通貨だった。スマートフォン内のアプリで貯めたり、知り合いなどに送ることができる。業界内では、国内外のポーカー大会の参加費やアミューズメントカジノ内で利用できるポイントとして説明されてきたが、実際は裏で換金も可能で、現金と変わらない価値を持つ。
このデジタル通貨が昨年頃から普及し、現在全国で500店舗以上展開しているアミューズメントカジノ店のうち、約180店舗で導入されるほど流行しているのだ。
デイリー新潮の指摘後も
「これまで店内では賭博罪や風営法に抵触しないよう、国内外のポーカー大会出場権などを賞品として出してきたが、ウェブコインの方が集客できると各店が取り入れ始めた。ポーカーの本質はギャンブル。客は、絵に描いた餅よりは換金可能なコインの方をもらえた方が喜ぶに決まっているからです」(都内アミューズメントカジノ経営者)
その結果、何が起きたのか。
「それまで業界全体で『トーナメント形式』のゲームばかり開催していたのですが、『リングゲーム』という、よりギャンブル性が高いゲームが流行。『リング専門店』まで次々と新規オープンした。店舗内で行われているトーナメントの参加費、賞金ウェブコインも高額化し、六本木、新宿、渋谷あたりはあちこちで鉄火場となっています」(同)
このデジタル通貨事業を傘下にあった「ポーカーギルド」社で始めたのが薮内氏なのである。デイリー新潮は4月の取材で薮内氏に「ウェブコインに違法性があるのではないか」と問いかけたが、薮内氏は「適法化しており、加盟店の『付与』の仕方に問題があるだけです。今後指導を徹底していきます」としてウェブコインの運営・流通をやめるつもりはないと語った。
しかし、その後もアミューズメントカジノ内での実質的な賭博は横行。12月、警視庁は都内のアミューズメントカジノ80店に初めて立ち入り検査に入り、6割に当たる46店舗で84件の風営法違反があったとウェブコインを名指しで指導したのだ。さらに、12月27日から始まっているJOPTに対し、開催直前で、ウェブコインを賞品として取り扱わないよう指導。JOPTは急遽取り扱いをやめた。
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