福岡県立高では「豚骨カレーラーメン」も! 全国各地“高校学食”ご当地メニューは傑作ぞろいだが…「学食天国」大阪、埼玉、福岡でも“学食の存続に危機感を抱く”非常事態に
減少する高校の学食
しかしながら、これほど人気の学食でも原材料費と人件費の高騰などが原因で運営に支障を来しているという重い現実がある。
アンケート調査で「学食の存続に危機感を抱いているか?」との設問に「抱いている」と答えた自治体の回答の全文をご紹介する。
【大阪府】
学食の存続には危機感を抱いており、食堂事業者の負担軽減のために令和7年度から行政財産使用料を全額免除するなどの対策を講じています。
【埼玉県】
人手不足や原料費の高騰などが学食の存続に影響を与えることはあると考えています。
【千葉県】
物価高騰や生徒数の減等により、学校によっては、学食の運営が厳しい状況となっています。
【福岡県】
人件費や原材料費の高騰、人手不足などにより、事業者が食堂経営から撤退することは危惧している。
【群馬県】
原材料費の高騰について懸念している。学食は運営主体は業者になるが、高校生が手を出しやすいようワンコイン以内という価格設定が多い。企業が運営しているため、企業努力という形で対応しているのが実態である。
震災時に発揮する給食と学食の“学び”
学校給食などに詳しい藤本勇二・武庫川女子大教授は「様々な教育関係者が昨今の高校生は成熟が遅いという傾向を指摘しています。学食の問題を考える際、今の高校生はかつての同世代より『食の確立』が遅くなっているという事実は無視できません」と言う。
「中学校の学校給食は増えているので、食習慣の改善には寄与しています。ところが高校の学食は減少傾向にあるわけです。これはどういうことかと言えば、小学生や中学生では栄養士さんや調理スタッフという『お節介をしてくれる人』が給食を作ってくれている。ところが高校生になると、お節介を焼いてくれる人も場所も少なくなっていることを意味します。これは、やはり由々しき問題だと言えるでしょう。例えば日本で震災が起きると被災者が整然と炊き出しの場に並ぶのは、給食と学食の経験があるからだと指摘する関係者もいるほど、高校の学食は大切な場所なのです。高校でも“給食”を出すことも視野に入れながら、もう一度、高校における学食の教育的価値をしっかりと考える必要があると言えるのではないでしょうか」
第1回【「高校に学食あった?」への反応は地域によって大違い…「都立高」はゼロなのに「大阪府立高」は134校で設置のナゾ 専門家は「学食に大きな教育効果」を指摘】では、人口ランキングでベスト20に選ばれた都道府県立の高校で学食がどれくらい設置されているのか、意外な“西高東低”の結果などについて詳細に報じている──。
註1:人口の多い順に1東京都、2神奈川県、3大阪府、4愛知県、5埼玉県、6千葉県、7兵庫県、8北海道、9福岡県、10静岡県、11茨城県、12広島県、13京都府、14宮城県、15新潟県、16長野県、17岐阜県、18群馬県、19栃木県、20岡山県。
註2:営業のための「財産目的外使用許可」を行っている高校数。学食が実際に営業しているかどうかは未調査。
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