高倉健、倍賞千恵子、渥美清、佐久間良子…男と女、出会いと別れ、古き昭和が心に染みる年末年始の映画4選【冬の映画案内】

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昭和33年の大晦日

〇「ALWAYS 三丁目の夕日」(2005年)

 昭和33年の春、赤い頬っぺたの星野六子(堀北真希)は青森から集団就職で上京し、小さな自動車修理工場「鈴木オート」に住み込む。則文(堤真一)、妻のトモエ(薬師丸ひろ子)、息子・一平の一家だ。向かいに住む売れない小説家・茶川竜之介(吉岡秀隆)は、居酒屋の店主・ヒロミ(小雪)に小学生の古行淳之介を預けられた。夕日町の住人たちの様々な想いと絆が描かれる。

 少年たちがゴム動力の模型飛行機を追って、細い路地から広い通りに出ると都電が走っていた。カメラが左にパンすると建設中の東京タワーが現れる。いきなり昭和30年代の街に放り込まれたようで、胸に何かが込み上げてくるオープニングだ。

 街並みや人々の営みの再現が見事。六子が到着する上野駅は、当時の姿がVFX(CG)によって見られる。駄菓子屋にはソース煎餅やラムネが並べられ、テレビが来た日は、近所の人を呼んでプロレス観戦。夏は氷屋が冷蔵庫を冷やすための、氷を届けに来る。

 大晦日の掃除は一家総出だ。トモエは割烹着に姉さん被りで忙しい。嬉しそうに障子を破く一平に「きれいにやってよ」と声をかける。これは懐かしい。一年に一回の張り替えの時だけ、子供は好きなだけ破けるのだ。

 六子は帰省切符を、鈴木夫妻からプレゼントされる。三等車とドアに書かれた車両に乗り、青森に帰る様子が描かれている。そして、夕日に染まる完成した東京タワーを、皆で見上げ大晦日は終わる。

六子と堀北真希の結婚

 次作「ALWAYS 続・三丁目の夕日」(2007年)は4カ月後の昭和34年が舞台となり、茶川とヒロミ、淳之介の3人が新しい家族となる話が中心だ。そして最終作「ALWAYS 三丁目の夕日’64」(2012年)は東京オリンピックの年で、六子は結婚する。1作目から7年経ち、すっかり大人の女性になった堀北の花嫁姿がきれいだ。

 堀北は1作目の撮影時は16歳で、役年齢とほぼ同じだった。六子は21歳で結婚するが、堀北は2015年に俳優の山本耕史と結婚し、2017年に芸能界を引退する。本作で注目された後、NHK連続テレビ小説「梅ちゃん先生」(2012年)でヒロインを務め、それ以降も主演作が続く人気女優だった。まさに惜しまれての引退だったが、家庭志向が強かったという。

 映画の序盤、星野六子の履歴書が少しだけ映る。そこには「昭和18年10月21年生」と書かれていた。そうすると今年で82歳だ。彼女はどんな人生を歩んだのだろうか。

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