清水美沙と工藤静香、前田敦子、石田ゆり子…「クリスマスと日本映画」の好相性を堪能できる映画4選【冬の映画案内】
6つの異なる愛の物語
〇「すべては君に逢えたから」(2013年)
2014年に開業100周年を迎えた、東京駅を舞台にして製作された。クリスマス・イブに10人の男女が織りなす6つの異なる愛の物語が交錯する。そのいくつかを紹介しよう。
「イヴの恋人」は、人間不信の会社社長(玉木宏)と、女優の夢を諦め故郷へ帰る決意をした女性(高梨臨)の、最悪の出会いから始まる物語。「遠距離恋愛」は、遠距離恋愛をしているカップル(木村文乃、東出昌大)の久しぶりの再会が、誤解からすれ違う様を描く。
「クリスマスの勇気」は、憧れの人に告白する勇気がないケーキ屋のアルバイト女性(本田翼)と、49年前に東京駅に来なかった恋人を思う店主(倍賞千恵子)の話だ。各々の物語の人物がどこかで繋がっているのが、徐々に明らかになっていく。
高梨臨は、夢に破れ故郷に帰る切なさと、新たな出会いに対する微かな希望を、木村文乃は、仕事の忙しさや遠距離恋愛のすれ違いによる焦燥感や寂しさを繊細に演じている。また本田翼は、倍賞千恵子演じる店主との交流を通じて、成長していく姿が爽やかだ。女優陣の伸び伸びとした演技が印象的に残る。
名作クリスマス映画の日本版
ここまで読んで、英国映画「ラブ・アクチュアリー」(2003年)を思い出す人も多いだろう。そう、この映画は当初から「ラブ・アクチュアリー」の日本版を目指して制作されたもの。複数の物語が並行して描かれ、クライマックスのクリスマス・イブに収束する構造は同じだ。
しかし、その内容は日本版が愛や別れ、再会など心温まるストーリーが中心となっているが、英国版は首相までも登場し、ユーモアを含んだシニカルさを効かせながら、友情、家族愛、不倫などを描いている。
お好み次第だが、異なったクリスマス・イブを味わってみても良いだろう。
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