「あいつは昔、週刊誌沙汰になったことがある」 鈴木農水相の父親の「知られざる過去」 後援会幹部が明かす

国内 政治

  • ブックマーク

【全2回(前編/後編)の前編】

 肝いりの「おこめ券」が不評を買っている鈴木憲和農林水産相(43)。東京大学法学部卒、農林水産省OBという経歴からJAの代理人のように評されることも多いが、実は、父親はかつてJA相手に訴訟を起こしたこともあるのだという。「週刊誌沙汰」にもなったという父親の過去については、地元・山形でも知る人ぞ知る話だった。明かされることのなかった父親の経歴とは……。

 ***

 新米の出荷が始まった後も、コメの価格高騰は収まっていない。平均価格は5キロ当たり4000円を優に超えたままだ。鈴木農水相は高騰するコメ価格対策として、備蓄米の放出に替わり「おこめ券」の配布を提唱した。しかし、地方自治体からは「事務作業の手間がかかる」などと反発の声が相次いでいる。

 12月12日、鈴木氏は定例の記者会見で、そのおこめ券について、

「お米しか買えないわけではなくて、利用店が認めた商品の購入も可能である」

 と、利便性を強調したものの、「すでに、東京都では江戸川区、中野区、豊島区が“配布しない”方針を表明しています。同様の動きは大阪府の交野市、泉佐野市、箕面市、さらに長野県の松本市や上田市など全国に広がっています」

 とは政治部デスク。

「鈴木氏は、おこめ券の配布が決まった経緯について“事務方と議論した結果”と説明していますが、発案者は本人です。おこめ券は一部利益が全国農業協同組合連合会(JA全農)に入る仕組みであったため、JAに利益を誘導するつもりではないか、との批判が起こりました」(同)

 元農水官僚でキヤノングローバル戦略研究所の山下一仁氏もこう指摘する。

「鈴木氏は“コメの価格は市場に任せるべき”と言っています。ならば減反政策は今すぐに廃止するべきです。関税を下げて輸入米を増やすという方法もあります。そういう価格抑制に効果的な方法は採用せず、逆にJAの過剰在庫を削減するためのおこめ券にこだわるのは、JAの顔色を見ているからだと言わざるを得ません。鈴木氏の選挙区はコメどころの山形です。JA票が欲しいのでしょう」

 鈴木氏自身は9日の会見で、おこめ券がJAへの利益誘導だとの見方を否定。批判の高まりを受けて、JA全農は11日、発行利益は上乗せせず、通常より数十円ほど安い額でおこめ券を自治体に販売すると表明した。

「鈴木氏は旧茂木派の出身。鈴木貴子党広報本部長(39)、鈴木隼人内閣府副大臣(48)と共に茂木敏充外務相(70)の覚えがめでたい“鈴木3人衆”と称されることもあります。農水相に指名されたのは、10月の総裁選の決選投票で旧茂木派が高市早苗首相(64)の支持に回った論功行賞枠です。農水省OBというキャリアも評価されました」(前出のデスク)

「あいつは昔、週刊誌沙汰になったことがあるからさ」

 開成高校卒業後、東大法学部を経て、農水省に入省。消費・安全局総務課総括係長を最後に30歳で退職した。2012年、準公募的手続きにより自民党山形県第2選挙区支部長に就任。同年12月の総選挙で初当選を果たしている。鈴木氏が山形を選んだのはルーツがあるからだ。祖父は山形県南東の高畠町、父親は隣の南陽市の出身である。

 南陽市の鈴木家に詳しい地元住民が言う。

「憲和君のおじいちゃんは下駄屋を生業にしていました。子だくさんでね。そのうちの一人が憲和君のお父さんなのだけど、地元の高校を卒業後に上京して、山形とは縁遠くなっている。とはいえ、憲和君が初めて選挙に出た時は、お父さんの同級生などの地縁を頼って票を固めていましたよ」

 後援会の幹部が語る。

「親父が来て、“息子が衆院選に立候補するから協力してくれないか”と言ってきてね。物静かな感じの子でさ。滅多に入れない農水省を辞めて、なんで選挙なんかに出るのかって思ったよ。本当に当選するとは思ってもいなかった」

 この幹部に父親の素性について聞くと、

「親父は地元の集まりにもほぼ顔を出さない。あいつは昔、週刊誌沙汰になったことがあるからさ。福島県の磐梯山のリゾート開発の件を調べてみるといい」

次ページ:946億円の負債を抱えて……

前へ 1 2 次へ

[1/2ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。