不倫バレ&流血沙汰から1年…「無視されるのがいちばんつらい」 “沈黙の妻”と向き合えない45歳夫の苦悩
【前後編の後編/前編を読む】妊娠後、妻のことがわからなくなった…「あなたと結婚したのが間違いだった」と告げられて “まじめすぎ”に疲れた45歳夫の嘆き
吾妻晃太さん(45歳・仮名=以下同)は、1年前に自身の不倫が露呈し、妻の沙保里さんと「膠着状態」にあるという。33歳の時に妊娠を機に結婚した沙保里さんは、晃太さんに言わせると「超がつくほどまじめ」な女性。「家にいる母親」になるべきとの考えから仕事をやめたが、いざ双子が生まれると、家庭生活に疲弊する様子を見せるようになる。義母に手伝ってもらいながらの子育てを続けたものの、沙保里さんは英才教育志向で、小学校受験をめぐって母娘は溝を深めてしまう。晃太さんは義母と共に受験に反対し、塾も辞めさせた。沙保里さんは「あなたと結婚したのが間違いだったのかしら」とつぶやくのだった。
***
【前編を読む】妊娠後、妻のことがわからなくなった…「あなたと結婚したのが間違いだった」と告げられて “まじめすぎ”に疲れた45歳夫の嘆き
子どもたちは地元の公立小学校に入り、元気に通いはじめた。晃太さんは、子どもたちの話を聞くのが楽しかった。休みの日には子どもたちにサッカーを教えた。
「元気に走り回る子どもたちを見るのがうれしくて楽しくて。でもそんなとき、そばで一緒に楽しんでくれるのは義母なんです、沙保里じゃない。沙保里は毎日、家の中をきれいに掃除して栄養も完璧な料理を作ってくれたけど、子どもの気持ちに寄り添うことをしなかった。子どもは無条件で親を慕うものだと思い込んでいたようです。そうじゃない、子どもとの関係だって人間関係なんだと言ってもわからない。彼女は彼女なりに悩んでいたのかもしれませんが、素直に悩んでいるとは言わないから、僕には妻が『母としての権力』を振りかざしているようにしか見えなかった。必然的に子どもたちは僕になつく。それが妻をより苦しめる。そんなふうになりかかっていた」
そして不倫へ…
3年ほど前、子どもたちとはうまくいっているものの妻への対応に苦しんでいた晃太さんは、起業した会社でともに働く香奈さんと急速に接近した。香奈さんは、晃太さんと共同代表を務める友人が連れてきた女性で、最初は事務だけだったが、徐々に営業もしてくれるようになった。敏腕にして才媛、「うちの会社の最高の社員」と晃太さんは対外的に絶賛してきたという。
「彼女は友人の妻の親友なんです。気さくで明るくて、するりと人の懐に飛び込むことができるタイプ。だから彼女が営業に行ってくれるとうまくいく。当時、うちに来て3年くらいたっていました。全部で5人ほどの小さな事務所だったけど、売り上げは悪くなかったし、社内の人間関係もうまくいっていた。だから、彼女と急に親しくなっているという実感がなかったんですよ」
自分でも気づかないうちに確実に彼女に魅せられていた。知らず知らずのうちに、彼は香奈さんに家庭の悩みも相談するようになっていたのだ。
「ある日、ふたりで営業帰りにランチをしているとき、また僕は妻の愚痴を言っていたんですよ。そうしたら香奈が、『子どもに会える権利を確保して別れちゃえばいいのに』と。彼女自身、離婚経験者なんです。夫を憎みたくないから別れたと言っていた。憎んだら子どもを会わせたくなくなるからって。それは道理だと、話を聞いた当時は思っていたんですが、僕自身は離婚の意志はなかった。『夫婦仲がうまくいかないのって、ストレスでしょう? 私はそんなストレスを負いたくなかった。元夫とは別れてからは、いい友だちよ。親同士として信頼もしているし』と。そういう道もあるのかと考えさせられました。『それで、新しい恋をすればいいじゃない?』と彼女は軽やかに言う。実際、彼女には恋人がいたようです。それを聞いて、僕の中で妙な感覚があった。嫉妬ですね。目の前の彼女が好きなんだと初めて気づいたんです」
そこで彼はいきなり告白してしまった。「香奈のこと、前から好きだった」と。自分でもびっくりするような言葉だった。香奈さんはそのときはカラカラと笑って相手にしてくれなかったのだが、数週間後、こっそり言った。
「『私も晃太さんのこと、好きかも』って。しかも仕事中に耳元で言うから、ビビりましたよ。ドキドキしてしまった」
合意ができた。あとはチャンスを狙うだけだ。香奈さんはある日、「今日、娘は元夫の家にお泊まりなの」と誘いをかけてきた。乗るしかなかった、乗りたかったと晃太さんは振り返る。子どもが生まれてから、夫婦間ではほぼレス状態だった。久々に体の奥から欲求がわいてくるのを感じた。
[1/3ページ]


