「投手としてのピークは2年以上先」 山本由伸の“肉体の秘密”を専属トレーナーが明かす

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 ワールドシリーズ連覇の立役者となったドジャースの山本由伸投手(27)といえば、常識を覆す独特のトレーニング法で知られる。その指導を続ける専属トレーナーが、プロ入りから8年で「世界一のピッチャー」へと進化した、山本流“肉体改造”の秘密を明かす。

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「ワールドシリーズ(WS)第7戦で、山本君が最後に放った一球こそ、この8年間、彼が日々取り組んできた鍛錬の集大成だと思っています。実際、私は投げた瞬間に“打ち取った”と確信したほどです」

 感慨深げにこう話すのは、ロサンゼルス・ドジャースの山本由伸投手が師事する、柔道整復師でパーソナルトレーナーの矢田修氏(66)だ(※以下、「」内は矢田氏の発言)。

 11月2日(日本時間)、敵地トロントで行われたブルージェイズとの天王山。延長11回裏、ワンアウト一、三塁のピンチを迎え、山本が対峙したのは、その日2安打と好調の6番アレハンドロ・カークだった。

「あの場面でドジャースが勝利するにはダブルプレーを狙うしかありませんでした。山本君の投げたスプリットがカークのバットをへし折り、みごと併殺に抑えましたが、もちろん彼は“バットを折ろう”と思って投げたわけではありません。しかし“相手のバットを折るような球はどうしたら投げられるのか”と毎日考えながら練習に励んできたからこそ、あの極限状態において、最高の球が無意識で投げられたのです」

 山本も試合後、「最後、何を投げたかも覚えてない」と、無我の境地で放った一球だったと振り返っている。

野球が好きな少年がそのまま成長したような青年

 ドジャースを球団史上初のWS連覇に導いた山本のピッチングを、現地メディアは「ミラクル」と評したが、

「奇跡とは偶然ではなく、必然です。奇跡が起こるような取り組みを日々実践しているからこそ、ミラクルは起きるのです。2017年に初めて出会って以降、彼を間近で見てきた私からすると、“奇跡を呼ぶ男”が当然の結果として奇跡を起こしたに過ぎないと映っています」

 山本は16年のドラフトで、オリックスから4位指名を受け入団。当初は注目を集める選手ではなかったが、矢田氏との出会いが最大の転機となる。

 大阪市で接骨院を営む矢田氏の元に山本が現われたのは、オリックス入団1年目の春だった。

「最初の印象は、野球が好きな少年がそのまま成長したような、素直で純粋な青年というものです。彼に“将来、どうなりたいの?”と聞くと、“フォークボールが得意なので150キロくらい出るフォークが投げたい”と明確に答えた。大きな夢を語るでもなく、具体的な目標を挙げる彼の言葉を聞いて、“目の前のことがちゃんと見えている子やな”と感心したのを覚えています」

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