「天皇陛下重体」自粛の中で迎えた“昭和最後のクリスマス” ケーキ・ホテル業界が編み出した苦肉の策とは「メリーの文字を削除」「スイッチ1つで電飾消灯」
TDLは土曜夜の花火とショーを自粛
それでも館内の何カ所かに、赤い豆電球を使ったツリーのある“クリスマス地帯”を設けているが、イルミネーションの類いは「集中制御方式」にした。万一の報が入ったら、1つのスイッチで瞬時に消してしまおうという工夫なのである。
呼び物のディナーショーはといえば、
「早見優、堺正章、北村英治、梓みちよ、さだまさしのショーを予定していますが、万一のことがあった場合は、全部中止せざるを得ないだろうと思っています。それは各ホテルが足並みを揃えるはずです。芸能プロダクションとの契約には、“特殊な事情”での取りやめはあり得る旨が記されていますから、それを根拠に話し合うことになると思うんです」(ホテルニューオータニ広報担当者)
では、東京ディズニーランドはどうか。
「12月1日からクリスマスのセレモニーをやっています。高さ15メートルのツリーを飾り、パレードやディズニーキャラクターが総出演するショーも開かれますが、土曜夜の花火やレーザー光線ショーはすでに自粛しておりましてね。今後、万一のことがあった場合は、やはりあまり派手なことをするわけにいかないとも思っています。クリスマス行事を中止する可能性も、目下検討しているんです」
10月末に映画業界が話し合いを
クリスマス行事ではないが、映画の東宝は12月13日に予定していた「東宝年忘れパーティー」を中止した。さる芸能通によれば、
「邦画が斜陽とはいっても、まだまだ映画会社の年忘れパーティーや新年パーティーは華やかなものですよ。所属をこえて新旧の俳優が集まり、政治家や財界人、芸能記者など招待客は2000人近いでしょう。しかし、それが、東宝を皮切りにすべて自粛されることになりました。東映と松竹は、年忘れではなく新春パーティーですが、それも中止が決定している」
その東宝の担当者の話。
「当社の創業者の小林一三の名にちなんで、当社は毎年、12月13日をパーティーの日と決めておりました。しかし、諸般の事情により中止させていただくことになり、社長名で関係者に通知申し上げたのです。実をいうと、さる10月末に映画業界の話し合いの場が持たれ、そういう方向を申し合わせていたんですよ」
ご病状に合わせてキャンセル電話が
深刻な状況に追い込まれてしまったのが、ホテルその他の宴会場にコンパニオンを派遣するバンケット業者である。ほとんどが小零細業者だけに、すでに危機的状態だ。業者の団体である日本バンケットプロデュース協会関係者はいう。
「10月、11月は年内で最も企業主催の大きなパーティーのある時期で、そのときに稼がないと年を越せません。ところが、ほとんど中止になり、クリスマスのパーティーも自粛、年忘れや新春パーティーなども続々中止。もう我々は真っ青なんですよ。予約だけなら結構あるんですが、陛下のご病状に敏感に反応している。血圧が下ったりすると、その日のうちにキャンセルの電話が何本もかかってくるんです」
銀座のクラブやバーも、クリスマスのパーティー券販売を自粛しているという。
「1枚5万円くらいのパーティー券を売りまくるのが銀座のクリスマスですが、今年は取りやめ。社用族がみなさん自粛ムードだから、それどころじゃないですよ。12月の稼ぎは年間の2、3割が普通なのに、銀座は不景気もいいところです」(クラブ支配人)
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