「親には相談しない方がいい」 AIの助言が「最悪の結末」に…SNSが招く「自己肯定感」の低下
急速に浸透
現代の子どもたちは、スマホの依存問題だけでなく、次々と現れる新しいテクノロジーの課題にも直面している。特に、急速に進化するAIとの付き合い方、SNSが子どものメンタルヘルスに与える負の側面については、社会問題にもなっている。どう向き合えばいいのか、ITジャーナリストで成蹊大学客員教授の高橋暁子さんに聞いた。(全4回の第4回)
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AIは、話し相手になったり、驚くほど高いクオリティの動画や画像を生成したりと、既に子どもの日常生活に急速に浸透し始めています。非常に便利なツールである一方、その回答には「ハルシネーション」と呼ばれる、事実に基づかない誤った情報や虚偽の内容が含まれる可能性があることを、親子共に理解しておく必要があります。
過去には、AIが、自殺願望を打ち明けたユーザーに対し、具体的な方法を助言してしまい、実際にそのユーザーが命を絶つという痛ましい事件もありました。AIが「もっとこうすべきだ」「親には相談しない方がいい」といった、危険なアドバイスを生成していたのです。こうした悲劇を繰り返さないためにも、AIの回答を鵜呑みにすることの危険性を、子どもたちに繰り返し伝えていく必要があります。
また、AIとの関わり方は、子どもたちの将来にも大きな影響を及ぼします。AIに過度に頼りすぎると、自ら問いを立てて深く思考する力や、自分の考えを的確に言語化する能力が育たず、将来、大学入試や社会に出てから困難に直面する可能性があります。
AIによってあらゆる業務が効率化・自動化される時代だからこそ、「あなたを雇う意味はない。その仕事はAIで十分だ」と評価されかねないのです。これからの時代を生き抜くためには、「AIにはできない、自分ならではの価値は何か」を常に考える姿勢が不可欠です。
次に、SNSが子どものメンタルヘルスに与える深刻な影響についてです。特にInstagramやTikTokといった、ビジュアル中心のSNSは、10代の若者の精神的な健康に悪影響を及ぼす可能性があります。
SNSでは、アプリで加工・修正された、非現実的な美しい画像や動画が目につくことが多いです。シワや毛穴一つない完璧な肌、極端に痩せた体型などに晒され続けると、子どもたちは無意識のうちにそれと自分を比較し、「自分は見た目が悪い、太っている」「自分には価値がない」と思ってしまう。その結果、自己肯定感を著しく損なってしまう可能性があるのです。
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