まるで「ハッカー」…スマホ制限の突破で子どもが積む「悪い成功体験」 モラル崩壊の危険も
制限を簡単に解除
親がスマホの利用に制限をかけても、子どもは驚くような“裏技”を駆使して簡単に解除してしまう……。多くの家庭で繰り広げられるこの終わりなき「いたちごっこ」は、深刻な悩みだ。複雑化するデジタル環境の中で、親はどのように子どもと向き合えば良いのか。ITジャーナリストで成蹊大学客員教授の高橋暁子さんに聞いた。(全4回の第3回)
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保護者から寄せられる相談の中で、特に切実なのが、「ペアレンタルコントロールを設定していたのに、いつの間にか勝手に使っていた」「知らない間にパスワードを割り出し、制限を解除されていた」といった、子どもの予測不能な行動に関することです。
子どもには「スマホを使いたい」という、時に親の想像をはるかに超えるほどの強い情熱があります。特に、制限をいかにして乗り越えるかという点では、子どもたちは驚くべき集中力と探究心を発揮します。それは、さながらシステムに挑む「ハッカー」のようです。
具体的な方法としては、設定しがちな誕生日や電話番号といった推測されやすいパスワードを片っ端から試すといった古典的なものから、親が指紋認証でロックを解除した上で渡された端末に、自らの指紋を追加で登録してしまうといった巧妙なものまで、様々です。
こうした情報は、今やYouTubeやSNSを通じて、子どもたちが容易にアクセスできる状況にあります。学校で配布された学習用タブレットの制限を解除してゲームに興じる方法や、禁止されているはずのアプリ内課金を行う手順などが、子どもたちのコミュニティ内で公然と共有されているのです。
親が一方的に制限を強化しても、子どもはまた次なる抜け道を探し出すだけです。逆に、子どもが「(親に)バレなかった、やった!」という感情を抱くことで、「悪い成功体験」を積ませてしまうことにつながります。
ルールを破ることへの心理的なハードルが著しく低下した結果、モラルそのものが歪んでしまう危険性があるのです。
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