赤坂「高級個室サウナ」火災で夫婦が死亡…専門家を驚かせた“3つのナゾ”「何が出火原因で、なぜ煙が充満したのか想像もつかない」
ドアノブの謎
「ホテルなどの宿泊施設が部屋や大浴場などにサウナを設置した場合、分かりやすくするために簡略化して言えば、地元消防がしっかり検査し、何も問題がなければ営業が可能になります。私たちの協会は任意団体ですから、加盟するかどうかは自由です。ただし、私たちの加盟店は多くのお客さまにサウナを楽しんでもらうことを想定しています。今回の火災に関する報道に接し、私たちの考えているサウナとは“設計思想”があまりにも違うので驚いています。例えばサウナの出入り口にドアノブを使うということ自体、私たちの場合はあり得ません。多くのお客さまが楽に移動できるよう、出入り口は押して開閉するタイプを使うのが一般的です」(同・協会)
気になるのは「SAUNATIGER」の公式サイトに《スマホ持ち込みも可能です》と明記していることだ。
例えば家庭用サウナを販売している会社は公式サイトに「故障やショートの原因になるため、サウナにスマホを持ち込むべきではない」と注意喚起している。
さらにサウナ愛好家の一部は個人サイトやSNSなどで「スマホを持ち込むと発火の危険性がある」と自粛を呼びかけている。インターネット上には熱が原因で曲がってしまったスマホの写真も公開されている。
想像もつかない「出火原因」
ただし、たとえスマホがサウナの中で発火したとしても、それだけで死に到るほどの状況になるかどうかは現時点では分からない。
「入浴施設のサウナがスマホの持ち込みを禁止しているのは、撮影防止の目的が強いでしょう。確かに新聞の持ち込みは発火の危険性があるからですが、注目していただきたいのは腕時計も禁止しているということです。これは『身体一つでサウナに入っていただきたいです』というメッセージなのです。見ず知らずのお客さま同士でサウナを楽しんでいただくための最低限のマナーという位置づけです」(同・協会)
サウナ内の座席や壁が焼けるほど中の温度が上昇する可能性については、見当も付かないという。
「基本的にサウナの熱源にはサーモスタット(自動温度調節装置)が付いています。サーモスタットが正常に動いているのなら、温度は上がりすぎることも下がりすぎることもなく、運営側が設定した温度を保ちます。サウナの椅子や壁に焦げができるということも信じられませんし、まして命の危険が生じるほどの煙がサウナ内で発生するという状況になると、今の時点では想像もできないというのが正直なところです」
現場からは燃えたタオルが発見されているため、これを火元と見る消防関係者もいるようだ。
いずれにしても、たとえ個室サウナの中で火や煙が発生したとしても、押せば開くタイプの扉だったのなら、この悲惨な火災事故が避けられた可能性があるのではないか。




