なぜ、「炎チャレ」復活がこれほど注目を集めるのか 「電流イライラ棒」も健在、賞金は1000万円に

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時代を越えたコラボ

 第三に、MCの組み合わせも話題になっている。オリジナル版からMCを務めているウッチャンナンチャンの南原清隆に加えて、番組と同じ1995年生まれのtimeleszの菊池風磨が新たにMCとして参加する。この世代を超えたタッグは「時代を越えたコラボレーション」として機能し、当時を知る世代と新しい世代の両方を番組に引き込む効果がある。

 菊池は当初、チャレンジャー側でのオファーだと思っていたという。それがまさかのMC就任だったということで、驚きながらもオファーを前向きに受け止めた。この2人の化学反応が新たな魅力を生み出すことになるだろう。

 肉体を使って賞金獲得を目指すリアルなゲームと、そこから生まれる人間ドラマは、デジタル時代だからこそ新鮮に映る可能性がある。バーチャルな体験が主流となった今だからこそ、フィジカルな挑戦が持つ迫力と説得力が際立つ。

 この手の番組では、大がかりなセットの設営などに多額の制作費を要する。こういう企画を実現できるのがテレビの強みである。YouTubeなどのウェブメディアが発達して、個人が気軽に動画を制作・発表できるようになった今こそ、テレビバラエティには「テレビでしかできないこと」が求められている。その意味で、この手のチャレンジ型バラエティは、テレビならではの強みを生かすものだと言える。

 25年という歳月を経て復活する「炎のチャレンジャー」は、単なる懐古番組ではない。それは、テレビが持つ力と可能性を改めて問い直し、新しい時代のエンターテインメントの形を模索する“挑戦”なのだ。

ラリー遠田(らりー・とおだ)
1979年、愛知県名古屋市生まれ。東京大学文学部卒業。テレビ番組制作会社勤務を経て、作家・ライター、お笑い評論家に。テレビ・お笑いに関する取材、執筆、イベント主催など多岐にわたる活動を行っている。お笑いムック『コメ旬』(キネマ旬報社)の編集長を務めた。『イロモンガール』(白泉社)の漫画原作、『教養としての平成お笑い史』(ディスカヴァー携書)、『とんねるずと「めちゃイケ」の終わり 〈ポスト平成〉のテレビバラエティ論』(イースト新書)、『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで』(光文社新書)、『松本人志とお笑いとテレビ』(中公新書ラクレ)など著書多数。

デイリー新潮編集部

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