駅でひと目惚れ、スピード結婚したはずが…40歳夫が「おかしくなった」始まりは妻の複雑な父娘関係

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【前後編の前編/後編を読む】「浮気相手に会ってもらいたい」義父の頼みに嫌とはいえず…結果、40歳夫は誰にも言えない秘密を抱えるハメに

 不倫というものは、結婚している人たちの周りに常に存在するものだ。結婚していなければ「不倫」は存在しないのだから当然なのだが、人はいつでも深層心理では誘惑したがり、誘惑されたがっているのかもしれない。

 中本翔一郎さん(40歳・仮名=以下同)は、熱愛の末に結婚したものの義父の不倫に巻き込まれ、あげくは自分の言動さえ「ちょっとおかしくなってしまった」とここ数年の経験を話してくれた。

「僕自身は、結婚したら絶対に不倫などしないと思っていた。義父だってそんな人じゃないと信じていたけど、人というものはわからない。もはや自分のことさえ信じられないですね」

 神妙な面持ちでそう話す翔一郎さんだが、ことの発端は妻となった美緒さんとの関係だった。

実家に思い入れナシ

 彼自身は「のんびりした田園地帯で、兼業農家の次男として生まれ育った」という。父方の祖父母と両親、兄と姉のいる末っ子だ。今も両親は農業を続け、兄はサラリーマンとして家庭を持ちながら手伝っている。姉も結婚して近くに住んでいたが昨年離婚し、ふたりの子を連れて実家に戻った。

「今、実家は9人家族。姉が離婚したのはちょっとショックでした。今年の夏に、久々にひとりで帰省してみたら、実家の雰囲気がギスギスしていた。姉と子どもたちが出戻ってきたことで義姉に負担がかかり、兄夫婦の関係がよくないみたいで……。そりゃそうですよね。姉には別居したらどうかと言ってみたけど、生活できないって。姉の元夫も生活力のない男だから、ろくに養育費も払われてないんじゃないかな。何泊かしようと思いましたが、1泊で逃げ出すように帰ってきました」

 大学入学とともに上京した彼には、あまり実家への思い入れはなさそうだ。もともと「3人目の子はいらなかった」と母に面と向かって言われた記憶があり、それがどういう状況だったかは覚えていないものの、その言葉だけが心に棘のように刺さっている。「あのとき母や実家への思いは切れた。いらない子だったのなら、気ままに生きさせてもらう。そんなふうに思って生きてきたところはありますね」

 と彼は言う。

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