中国系航空会社の値下げが止まらない 東京→上海→バンコク「往復3万円」便で見たサービス劣化の現場

国際 中国

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まさかの「ノー」

 バンコク行きは8割ほどの席が埋まっていた。バンコクまで5時間ほどかかる。離陸してしばらくすると、飲み物のサービスがはじまった。今回はなぜか2回もあった。しかし機内食は配られない。空腹である。トイレに行ったついでに訊いてみた。すると、「ノー」というつっけんどんな返事が返ってきた。機内食はなかったのだ。今回、購入したネット系旅行会社からは、機内食の有無が記載されたスケジュールが送られてこなかったので、確認のしようもなかったのだが。

 これまで数えきれないほど国際線の飛行機に乗ってきた。FSCの航空会社で、機内食が出なかったことは1回もなかった。短いフライトでも、軽食は出る。

 席に戻ろうとすると、前出のフランス人とすれ違った。機内食がない話をすると、「我慢」といわれた。

 実は年末に、中国国際航空に乗る予定がある。そのチケットを確認してみた。食事の欄は空欄になっていた。今年の前半に利用したときのチケットには、食時欄に「朝食」とか「食事」と書かれていたのだが。

 収益をあげるためにさまざまな方策に出ているFSCもある。座席指定の有料化、機内食の有料化などだが……。バンコクの旅行会社のスタッフはこういった。

「中国系航空会社はなにをするか予測がつきません。中距離便は機内食をやめる……ありうる話かもしれません」

下川裕治(しもかわ・ゆうじ)
1954(昭和29)年、長野県生れ。旅行作家。『12万円で世界を歩く』でデビュー。『ホテルバンコクにようこそ』『新・バンコク探検』『5万4千円でアジア大横断』『格安エアラインで世界一周』『愛蔵と泡盛酒場「山原船」物語』『世界最悪の鉄道旅行ユーラシア横断2万キロ』『沖縄の離島 路線バスの旅』『コロナ禍を旅する』など、アジアと旅に関する著書多数。『南の島の甲子園―八重山商工の夏』でミズノスポーツライター賞最優秀賞。近著に『僕はこんなふうに旅をしてきた』(朝日文庫)。

デイリー新潮編集部

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