「褒めるだけ」の審査はもういらない…「THE W」新審査員・粗品に集まる“ガチ”評価への期待

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女芸人No.1決定戦

 12月13日に行われる「女芸人No.1決定戦 THE W 2025」で、霜降り明星の粗品が初めて審査員に加わることが話題になっている。テレビやネットでの発言がたびたび注目され、多方面で活躍を続けている粗品が、低迷気味の「THE W」を変えることができるのか、世間の期待が高まっている。【ラリー遠田/お笑い評論家】

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「THE W」は女性芸人だけが出場できる賞レースとして2017年に始まった。当初は女性芸人にスポットライトを当てる画期的な試みとして注目を集めたものの、回を重ねるごとに視聴率の低下や話題性の減少といった課題に直面してきた。

 3時のヒロイン、吉住、紅しょうがなど、この大会で優勝したことをきっかけにブレークした芸人がいる一方で、優勝したり決勝に出たりしてもその後の仕事につながらない人もいる。「M-1グランプリ」や「キングオブコント」に比べると、やや盛り上がりに欠けているのが現状である。

 そんな中で粗品が審査員として加わる意義は大きい。彼はお笑いに対する造詣の深さと分析力で知られている。粗品のそういう部分が評価されるきっかけになったのは、今年3月の「ytv漫才新人賞決定戦」で初めてお笑いコンテストの審査員を務めたことだ。ここでネタの構成や笑いのメカニズムを論理的に説明する審査コメントをしたことで、大きな話題になった。

 感覚的な評価だけでなく、なぜ面白いのか、どこに工夫があるのかを言語化できていた点が彼の強みである。大阪ローカルのお笑いコンテストにおける一審査員の発言が、あれほどの大反響を巻き起こしたのは異例のことだった。

 従来の「THE W」では、審査員があまり厳しいことを言わない傾向があった。ほかのお笑いコンテストでもそういうところはあるのだが、「THE W」は特にそれが強かった。恐らく、たとえ芸人であっても、女性に対して厳しい言葉を投げかけるのは感じが悪いという世の中の空気があり、それを意識して審査員も言葉に気を使っているのだろう。ただ、これまでの「THE W」では、そこが裏目に出ている側面があった。

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