なぜ「おこめ券」は消費者から歓迎されないのか 「自治体の反発」「1枚500円なのに実質440円」だけじゃない「鈴木農水相」に批判が集まる“もうひとつの理由”

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使用期限に消費者は反発

 現行のおこめ券は米穀店でコメを買うことを基本的に想定している。とはいえ、一部のスーパーなどではコメ以外の商品を買うこともできる。さらに、金券ショップで換金することも可能だ。

「鈴木農水相は、おこめ券の換金や転売を防ぐ目的もあって、使用期限を設定しようとしています。しかし、おこめ券を配るのはあくまでも物価高対策のため。家計が助かるのなら、おこめ券を換金してパンや麺類を買ってもいいはずです。さらに、おこめ券を当分の間は保管しておき、コメの価格が下がったら使うという“生活の知恵”も禁止されてしまう。結局、鈴木農水相の本音は『国民に配ったおこめ券はコメの購入だけに使われるのが望ましく、それ以外の使用はなるべく防ぐ』であると多くの消費者が理解しつつあるのです」(同・記者)

 可能な限りおこめ券でコメを買わせたい──消費者が鈴木農水相の悲願に強く反発している理由は、コメの価格が高止まりしているからだ。

「12月5日、農水省は全国のスーパーで販売されているコメ5キロの平均価格を発表しました。それによると11月24日から30日までの平均価格は4335円で、過去最高を更新したのです。さらに重要なのは、これは平均値だということです」(同・記者)

おこめ券でコメ価格は高止まり

「東京や大阪を筆頭に都市部では5キロ5000円のコメが大半を占めます。これほど高止まりしているコメを『500円で440円しか使えないおこめ券』で買って、ほんの少し安くなったとしても、ありがたいと感謝する消費者は少数でしょう。そもそも今、コメ高騰が原因で、消費者の買い控えが猛烈な勢いで進んでいます。にもかかわらず、コメの価格は下がりません。これは卸業者や小売業者が、おこめ券の配布がどうなるか注視して値下げしないからでしょう。こんな状態でおこめ券が配布されたら、使用期限が切れる前に消費者はコメを購入しようと米穀店やスーパーに殺到することになります。これでコメの価格が高止まりしないはずがありません」(同・記者)

 鈴木農水相は「コメの値段に影響を与えたいということは一切ない」と潔白を主張した。だが、すでに「おこめ券を配布したい」という意欲を見せることで「コメの価格が下がらない」という影響が出ていると見るべきだろう。

 さらに、鈴木農水相は「JAグループに何か利益誘導するということは全くありません」と胸を張った。だが、現行のおこめ券を使えば60円の“マージン”がJAグループに流れる可能性があることは前に指摘した通りだ。

備蓄米の買い入れもコメ価格に影響?

 鈴木農水相の説明が白々しく聞こえるのは否定しがたい。消費者が鈴木農水相の発言に反論や批判を浴びせるのは当然だ。しかも、鈴木農水相がコメの価格を高止りさせようとしている“疑惑”はおこめ券の配布だけではない。

 第3回【「備蓄米の買い入れ再開」「おこめ券の使用期限は来年9月末」…農水省の方針から透けて見える“コメの高値安定”という暗い未来】では、備蓄米の買い上げもコメの価格を高止まりさせてしまう可能性について詳報する──。

デイリー新潮編集部

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