「親友と同じ娘を好きになってしまった」十代のよくある三角関係のはずが…46歳の今も縛られ続ける夫の人生

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「ハンパな不良」になった親友

 久斗さんと都美さんは、第一志望の同じ高校に合格したが、和輝さんは不合格だった。滑り止めの私立高校に入学するも、和輝さんは徐々に「ハンパな不良」へと変わっていく。本気で悪いことができるタイプではないのに、イキがって悪ぶり、ケンカをしたり万引きをしたりしていたらしい。

「僕も都美も、地元で彼を見つけては『そんなことをしていても自分のためにならない』『もう一度、受験してみれば』『通信制の高校に転校すれば』とさんざん言いました。でも彼は、僕らと顔を合わせるとつらそうな表情になるんです。僕もどうしたらいいかわからなかった。和輝のお父さんやお母さんもつらそうでした」

 ところが高校2年になるとき、和輝さんは自ら望んで転校した。それまでの仲間と縁を切りたかったこと、その決意をさせてくれたのが都美さんだと照れたように語った。そしてそのころから和輝さんと都美さんは、本格的につきあうようになった。都美さんが好きだった久斗さんはせつない思いを抱えたが、「和輝と都美は似合いのカップルだったから、それはいいんです。僕が入り込む余地はなかった。僕はあくまでも、ふたりにとって親友。その立場でいいと思っていた」とつぶやいた。

「一人前になったら、都美と結婚する」

 和輝さんは高校を卒業すると「弟子入り」のような形で家業についた。1年たっても「下っ端すぎて、まだろくに仕事なんかさせてもらえないんだよ」と苦笑していた。都美さんと久斗さんは、それぞれ別の大学に進学した。

「成人式は3人で出席しました。式のあと3人で初めて居酒屋に行って乾杯して。和輝は『オレが一人前になったら、都美と結婚する』と宣言した。『こんなヤツでいいの?』と僕が聞いたら、『和輝は私がいないとダメだから』と都美は艶然と微笑んでいました。女として格が上がっているような、妙な貫禄みたいなものがあった。このふたり、性的関係もあるんだなとわかりました」

 しばらくたってから、久斗さんは和輝さんから、「都美が妊娠してさ」と打ち明けられた。「えっ」と顔を見ると、和輝さんは満面の笑みだった。これで結婚するきっかけができたと思っていたのだろうと久斗さんは振り返る。

「ふたりは20歳で結婚し、21歳のときに娘が生まれました。都美は休学したと聞きました。双方の親が反対する中での結婚だったけど、和輝はそれから死に物狂いで働き、職人としての腕を磨いた。実家近くのアパートに住んでいたから、僕もときどき遊びに行きましたよ。ふたりとも幸せそうだった」

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