バズる“クマ撃退”動画 人間の痛快な復讐劇だが…実はAIが作成 専門家「逆に興奮させる」と警鐘
被害は過去最悪ペース
クマによる甚大な被害が過去最悪のペースで増えている。2025年4月から10月までの死傷者数は196人で過去最多だった23年度を上回るペース。10月の被害者数は88人でうち7人が死亡しており1か月単位としてみれば過去最多だった。
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こうした非常事態に政府は「クマ被害対策パッケージ」を策定。警察によるライフル銃での駆除に加え、自衛隊や警察OBの協力を得るための免許取得支援などに乗り出した。
また、自治体のハンター人件費・資材支援、クマの餌となる柿の木の管理や電気柵設置などの出没防止策の強化、個体数管理の強化と生活圏からの排除に向けたガイドライン改定などを進めている。まるでクマと人間の間で内戦状態が勃発しているかのようだ。
社会部記者が指摘する。
「主な被害地域は秋田県が最も多く死者数も多くなっています。10月以降、被害が急増した背景には、ブナの実の不作などでクマが人里にまで出没するようになったことや、個体数自体が増えていることが挙げられます。実際、今年度の死傷者の約66%が市街地や田畑などの人里で発生しており、これは過去最多のペースで増え続けている被害の深刻さを浮き彫りにしています」
“クマとの戦い”が強いられる中、SNSで人気を呼んでいるのがクマ撃退動画だ。人里に侵入したクマを人間の知恵でこらしめるという内容で、具体的には玄関先に入り込んだクマを骸骨の模型が奇声をあげて退治する、というもの。シンプルな動画だけにその痛快さが大いにウケているのだ。
例えば、カンボジアを拠点とするユーチューバーが、欧米向けに公開しているとみられる「ハロウィーンの装飾にクマが驚く」という動画は220万回以上再生されている。
民家の庭に侵入してきたクマを退治するため居住人が、ハロウィーン用のガイコツの模型を設置。クマが近づいてきたところでガイコツが突然大声を上げて立ち上がったり腕を広げたり、装着されたライトが激しく点滅することでクマがビックリしてひっくり返る、あるいは失神して動かなくなるというストーリー。つまり人間を襲うクマへの復讐劇なのである。
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