バズる“クマ撃退”動画 人間の痛快な復讐劇だが…実はAIが作成 専門家「逆に興奮させる」と警鐘

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今後は巧妙な動画も

 YouTubeには同種のショート動画があふれており数十万以上の再生回数を記録。中には怒ったクマがガイコツ模型を破壊するという恐ろしい逆襲劇もある。

 それにしてもこの動画はあまりに人間に都合よくできている。AI研究家がこう話す。

「これらのクマ退治動画はAIが作成したものですよ。動画を見ていると途中で生成AIによるものであることを通知するウォーターマーク(透かし)が現れます。ただ、AIは進歩が著しいですから、そのうちウォーターマークが表示されない実写としか思えないような巧妙な動画も登場するでしょう」

 となると、これらのクマ退治動画を“リアル”と思い込んでしまう人が続出する事態も起こりかねない。どういうところに留意すべきなのか。岩手大学農学部地域環境科学科 (野生動物管理学研究室)の山内貴義准教授に聞いた。

――仮にガイコツの模型が叫ぶというシチュエーションがあった場合、クマが失神したり、驚いて逃げて行ったりするといった効果は期待できそうでしょうか。

「驚いて逃げる個体はいると思いますが、興奮させてしまうことになるので攻撃する可能性もあります。個体によると思いますが、失神はしないでしょう」

――これらの動画の出来栄えについてどのようなご感想ですか。

「よくできていると思いますが、何度も驚いて飛び上がっているのが不自然な感じです」

――これらの動画の影響で、クマ退治のため真似をする人が続出すると、どのような悪影響がありますか。

「驚くだけで民家のそばに出没させないようにする効果はないです。逆に興奮させてしまうので攻撃してくる可能性が高く、近くに人がいる場合は危険な状態になります」

――では人間はどのような対策をとるべきでしょうか。

「被害防除方法は行政の指導に従って適切に行ってもらいたいと思います」

 AI動画がますます巧妙になり真実と虚構の区別がつかなくなっている状況こそ“危険”なのだろう。決して真似しないように。

デイリー新潮編集部

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