「カネの話はじわじわと効いてくるんですよ」 「タニマチ宗教団体」「巨額PR費」報道が続き警戒を強める高市官邸

国内 政治

  • ブックマーク

返金した高市氏と小泉氏

 直近の政治資金収支報告書が例年通り11月末に公開され、高市早苗首相と小泉進次郎防衛相に関して政治資金規正法の上限を超える寄付があったことが判明。

 それ自体、そこまで目くじらを立てる話ではないということか、あまり問題視されていないが、その他のカネの流れも含めて官邸は警戒度を強めているという。

 収支報告書によると、高市氏が代表を務める「自民党奈良県第2選挙区支部」は2024年に都内の企業から1000万円、小泉氏が代表の「自民党神奈川県第11選挙区支部」も同様に大阪府内の企業から1000万円の寄付を受けていた。

 企業から政党などへの寄付については条件に基づいて年間の上限額が決まっており、両社とも寄付の上限は年750万円だった。それを受けて上限を超えた250万円を企業に返金したという。

 高市氏をめぐっては、こんな興味を引く献金案件もあった。

約8000万円を総裁選に

 先ほど触れた「自民党奈良県第2選挙区支部」。2024年の収入額は約1億8000万円となっているが、寄付者の欄にこんな名前があった。「(宗)神奈我良」。

「(宗)神奈我良」は24年12月に3000万円の寄付をした。加えてこの宗教法人の代表者・川井徳子氏も同年7月、個人で1000万円を寄付していることがわかる。

 実質的に同じ人物からの献金額が年間4000万円というのはかなりの金額。この団体については、「デイリー新潮」の他、「現代ビジネス」「文春オンライン」といったメディアがすでに報じている。いずれのメディアもタニマチとも言えるこの宗教団体には信者がほとんどおらず、実体がないのではないか、という疑念をにおわせる記事となっている。

「高市氏は小泉氏と同様の案件については報道の通り返金したことで、とりあえず一件落着。宗教団体に関する事案は永田町でそれなりに話題になりましたが、他にも似たようなケースがあるとか違法ではないとかといった理由もあり、特に動きはありません」

 と、政治部デスク。類似のケースがある、違法性がない、という論理でいえば、多くの「裏金議員」もセーフとなりそうだが、目下、あまり問題視されていない背景には高支持率があるのだろうか。

裏金よりポストの時代に

 高市氏の政治資金を巡る報道は他にもあった。毎日新聞が報じたのは、総裁選に投じた巨額の費用である。

 高市氏の資金管理団体「新時代政策研究会」の収支報告書によると、2024年の収入総額は約2億円で、このうち約8000万円を総裁選の活動費用に充てていたことがわかった。自民党の選挙管理委員会は告示前の段階で党員らへのPR文書の郵送を禁じた。しかし高市陣営は政策リーフレットを発送し、約30万人の党員らに届いたとされている。高市氏はこの物議を醸すことになったリーフレット経費として約4500万円を支出していた。

 3位だった小泉進次郎防衛相も総裁選のためにPR会社に約2000万円を支出していた。ちなみにこの時当選した石破茂前首相は40万円弱の出費だったというから桁違いに少ない。

「自民党では総裁選のたびにカネが飛び交っていたが、公職選挙法の枠外のため裏金天国だったという話はずっと受け継がれてきました。今もなお総裁選の選挙活動として“こっそりとまとまったカネを手渡しする”ことが無いとは言い切れませんが、時代が変わりましたから、ポストの確約などで済ませるというのがトレンドになっていると見られます」

次ページ:国民の理解を得られるのか

前へ 1 2 次へ

[1/2ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。