なぜSTARTO男子×年上女優のキャスティングが増えている? 「女性ファン離れ防止」だけじゃない“意外な理由”
配信ドラマとの違い 国内テレビ界の「特殊回路」が生んだ年齢差キャスティングとリスク
一方で、最近話題を集める配信ドラマやストリーミング作品では、このような実年齢差ひと回り以上の男女キャスティングは、あまり一般的とはいえないようだ。たとえばNetflix の日本オリジナル作品では、主演に若手アイドルを起用するよりも、キャリア俳優や実力派女優・俳優を起用することが多い。
第一に、配信各社は「ファン人気」より「作品の質」「俳優の演技力」「物語の普遍性」を重視する。サブスクというビジネスモデル上、「国内ファンの支持による数字」よりも「世界各地で見られる数」の方が価値が高い。つまり、演技力こそが最大の武器となる構造になっている。
第二に、配信作品には、テレビのようなスポンサー配慮や視聴率・リアルタイム反応の縛りがほぼない。だから「スキャンダル回避のための安全牌キャスティング」みたいな傾向も薄い。作品のために最適な俳優を選べばいいという、シンプルさが作品の多様性を生んでいる。
翻って、地上波ドラマの「若手男性タレント×ベテラン女優」という組み合わせは、外から見ると一見「自由なキャスティング」のようで、実は業界の特殊な回路が作り出したローカルな合理主義である。若手男性タレントの事務所は知名度のある仕事を取りたいが、女性ファン離れは避けたい。制作側はスポンサーや視聴者の手前、スキャンダルリスクは極力排除したい。そしてベテラン女優にとっては、恋愛ドラマに相手役として参加することで「現役感」を保ち、キャリアを長く維持できるメリットがある。こうした三者の利害がぴたりと重なった結果、あの年齢差キャスティングが生まれているのである。
ただ大きな問題は、この「特殊回路」がテレビ業界の旧態依然とした保守性を示す証拠にもなっている点だ。スポンサー配慮、リスクを極端に避けるキャスティング方程式。その蓄積がテレビ離れを加速させ、優秀なクリエイターの流出にもつながっている。配信ドラマが「実力で勝負する場」として、気骨ある俳優や制作陣を吸収していくのも当然の流れだ。
結局のところ、視聴者が求めているのは「実年齢差を納得させる演出や見た目」ではない。俳優同士の化学反応が生む物語の熱量であり、その熱量を引き出すための自由度あるキャスティングである。
「業界の回路」に寄りかかり過ぎた年齢差キャスティングが今後も続けば、日本のテレビドラマや映画はますます配信業界との差を、そして視聴者との温度差を広げてしまうのではないだろうか。
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