なぜSTARTO男子×年上女優のキャスティングが増えている? 「女性ファン離れ防止」だけじゃない“意外な理由”
女性ファン離れ防止だけじゃない! 年上女優の起用は若手俳優だけでなく若手女優にもメリットが?
注目すべきは、なぜ STARTO社所属タレントにだけこうした実年齢差キャスティングが集中するのかという点だ。STARTO社は旧ジャニーズ系タレントを中心に若手男性タレントの供給が豊富で、彼らを主演に据えたドラマや映画の企画が次々と立ち上がる。
ただここで制作側が直面するのは、いわゆる「恋愛スキャンダルリスク」だ。若手男性アイドルと同世代の独身女優を組ませると、ファンの嫉妬やSNS炎上の可能性が高くなる。
しかし、実年齢の離れたベテラン女優ならそのリスクはぐっと下がる。テレビ局、制作会社、事務所、そしてタレント本人にとって、「人気も話題性も押さえつつ、炎上リスクは最小限」という、まさに一石三鳥の配役が成立するわけだ。
さらにこのキャスティング構造は、女優業界にもメリットをもたらしている。第一に、年齢やライフステージによって主演の座から外れる流れを回避できる。30代後半~50代の女優が若手男性とペアを組むことで、ドラマや映画の主演ポジションが延長されるのだ。
それは次の仕事を呼び込む「現役感の証明」にもなる。画面に若手男性と並ぶことで、「まだまだ第一線で通用する」「大人の女性の魅力は健在」という印象を視聴者や業界にアピールできる。これはキャリアの延命戦略としても有効だ。
一方、活躍できるはずのポジションを奪われたとされる若手女優にも、メリットはある。例えばドラマや映画主演は撮影や宣伝スケジュールがハードで、結婚や出産との兼ね合いに制約が生まれてしまう。仕事だけでなくプライベートとのバランスをそろそろ考えたいという女優にとっては、先輩女優たちが代わって活躍していることはかえって好都合であり、今後の働き方のモデルとして参考にできる部分もあるだろう。
近年は独立する女優が増え、健康や私生活を大切にしながら、自分のペースで仕事を続けたいという姿勢がはっきりしてきた。主演の20代俳優に合わせてメインポジションから外れ、優しい母親役や厳しい上司役といった「決められた枠」に押し込まれていく旧来の制作環境に対して、女優たちが疑問を抱くのも自然な流れだ。その意味でも、20代男性を主人公に据えた作品で、年上女性が堂々と相手役として起用される傾向は、女優側にとっても歓迎すべき変化と言っていいかもしれない。
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