「良いこと悪いこと」やっぱり“真犯人”はコイツだ そして“共犯”はアイツだ 替え歌と22年前の絵の意味とは

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「7人目」の役割とは

 第7回。ちょんまげこと羽立太輔(森優作)が刺された。これまでの事件と大きく違った。過去の事件は犯人側から被害者に近づいたが、今度は、犯人が成りすました「博士」が、ちょんまげを会社跡地に呼び出した。小6のときの校外学習の場である。

 合流場所の伝達方法も特殊だった。博士、ちょんまげのメッセージは「鷹里小の森」という掲示伴に書き込まれた。掲示伴は誰でも見られる。最初の接触なら分かるが、どうして途中から秘匿性の高い伝達手段に変えなかったのか。

 ターボーもちょんまげも仲間に会社跡地に来て欲しかったからだ。掲示板が仲間に見つかるのは時間の問題だった。見つからなかったら、ターボーが何食わぬ顔をして発見すればいい。

 ターボーは自分が用意した人間がちょんまげを殺し、仲間がそれを見ていたら、容疑から遠ざかる。第3者を装える。一方、ちょんまげはターボーを疑っていたフシがあるので、守ってもらうため、ほかの仲間に会社跡地に来てほしかった。

 ちょんまげがターボーを疑っていたのは、第4回からいたターボーの会社を、第6回で離れてしまったことで分かる。ちょんまげは東京工業大中退の腕利きハッカーだ。ターボーの会社の財務内容などを調べたのだろう。

 ちょんまげは第3回、ターボーに板ガラスが落ちてきた際の映像も持っていた。防犯カメラ映像を入手したようだ。

 第7回。ちょんまげが会社跡地に行く前に消えたのはターボーの想定外だったはず。ターボーがちょんまげを探したのは彼の保護のためでなく、自分に不利な行動をさせないため、会社跡地で確実に殺すためである。ターボーは2人の人物を用意していた。

「仲間は6人ではなく、7人いた」。そんな空気が第7回から高まっている。中心にいるのはターボーだ。それはおそらく事実だが、やはりターボーが容疑から遠のくことが目的だろう。犯行とは直接関係ないと見る。

 当初、どの子が疑われたのもターボーが殺しのターゲットをいじめていた側の6人に絞ったから。ほかの人間に罪をなすりつけようとするのがターボーの特徴だ。

 カンタローを殺したのもターボー。この犯行はターボーと面識がないと無理だ。騒がれてしまう。ましてターボーは車椅子で病室から犯行現場に運ばれている。

 ターボーの頭上に板ガラスが落ちてきた際、キングに紙の塊をぶつけ、危機に気づかせたのは東雲晴香(深川麻衣)だろう。どの子と同期でやはり34歳である。

 第6回、ある謎が浮上した。どの子がスター記者になったのは、ガラス窓に映ったどの子の美しい顔が掲載されたからだが、テレビ番組のコメンテーターは「掲載前にチェックするもの」と指摘した。

 確かにそうだ。余計な画像は消す。そのまま載ってしまったのは東雲の悪意ではないか。

 これによって、どの子は真っ当な記者活動がやりにくくなる。東雲と差が付いた。

高堀冬彦(たかほり・ふゆひこ)
放送コラムニスト、ジャーナリスト。1990年にスポーツニッポン新聞社に入社し、放送担当記者、専門委員。2015年に毎日新聞出版社に入社し、サンデー毎日編集次長。2019年に独立。前放送批評懇談会出版編集委員。

デイリー新潮編集部

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