71歳で「娼婦役」、秋吉久美子が胸元も太もももあらわに挑戦したものは
「痛さ」が詰まった女性
俳優としてのキャリアはすでに半世紀を超える秋吉だが、ミュージカルに臨むのは初めてだ。
今回の作品は、およそ100年前、ナチスが勢力を拡大しつつあるドイツで、気鋭の劇作家ベルトルト・ブレヒトと作曲家クルト・ヴァイルが世に放った「三文オペラ」の現代版である。
オリジナル版の発表時、社会を覆っていたのは退廃的な空気だった。刹那的な好景気の下、経済格差は拡大の一途をたどり、街は失業者で溢れ、盗みや売春、ドラッグがはびこる……そんな世相を皮肉たっぷりに描き出し、喝采を博した作品である。劇中歌の「マック・ザ・ナイフ」は数々の歌手にカバーされるスタンダードナンバーだ。
ジェニーは元恋人に寄り添う気持ちなどなく、至極簡単に裏切る。そこにあるのは貧しさと無知――。自身の演じる役柄について、秋吉は語る。
「徹底的に“痛さ”が詰まった女性なんです。彼女だけでない、登場人物全員を取り巻く社会の底が抜けていた――それが今の時代に重なり合う気がします」。
どこか現代に通じる「三文オペラ」を、令和ニッポン・新宿歌舞伎町を舞台に新解釈で上演するという趣向。会場である新宿FACEが歌舞伎町のど真ん中に位置しているだけに、観客は終演後もなお作中を浮遊しているかのような感覚に襲われるかもしれない。








