2025年パ・リーグ6球団「ルーキー採点簿」 日本一のソフトバンクが“最低評価”になった理由とは

スポーツ 野球

  • ブックマーク

プロの壁に苦しむSB若手選手

 将来性の観点では、3位の山口廉王(仙台育英)が楽しみな存在だ。二軍で9試合に登板して2勝2敗、防御率2.83と結果を残し、10月5日の楽天戦で一軍デビュー。1回を投げて無失点と好投した。ストレートの最速は150キロをマークしている。

 山口について、他球団の編成担当はこう話している。

「193cmの長身ですが、体つきは高卒1年目とは思えないくらいしっかりしている印象です。体全体を大きく使って投げ下ろすスタイルで、打者からするとかなり“圧力”を感じるタイプの投手ですね。まだ細かいコントロールはありませんが、ストライクゾーンに投げ込むのに苦労しない程度の制球力もあります。順調にいけば、(同じオリックスの)山下舜平大のように一気にブレイクするかもしれませんね」

 山下は入団から2年間、二軍暮らしだったが、3年目にいきなり9勝をマークして新人王を受賞している。山口もそれに続く存在として期待できそうだ。野手では、1位の麦谷祐介が79試合に出場して12盗塁と持ち味のスピードを見せた。それ以外の選手が、来年どこまで成績を伸ばせるかが、チームの浮沈を握りそうだ。

【2025年ルーキー採点】
ソフトバンク 総合:C 即戦力:C 将来性:B

 最後にソフトバンク。トータルで見て厳しい評価になった。育成6位の川口冬弥(徳島インディゴソックス)が6月に支配下登録され、5試合に登板したが、その後は故障の影響もあり今オフには再び育成契約となった。

 即戦力の呼び声も高かった2位の庄子雄大(神奈川大)は一軍で4安打、二軍でも打率.213と結果を残せず、シーズンを終えた。4位の宇野真仁朗(早稲田実業)と5位の石見颯真(愛工大名電)が二軍でポテンシャルの高さを見せたが、宇野は7月末に肘の手術を受けて長期離脱したほか、1位の村上泰斗(神戸弘陵)もケガで公式戦での登板はなかった。

 ソフトバンクは選手層が厚く、ルーキーは一軍、二軍を問わず、試合出場が難しいとはいえ、全体的に見て苦しいスタートを切った選手が多かった印象は否めない。今オフには2021年の1位で入団した風間球打(明桜)がわずか4年で戦力外通告を受けるなど、プロの壁に苦しむ若手選手が目立った。今年1位で指名した佐々木麟太郎(米スタンフォード大)を何とか入団させて、将来の中軸に成長させたいところだ。

西尾典文(にしお・のりふみ)
野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

デイリー新潮編集部

前へ 1 2 3 次へ

[3/3ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。