「保険外しの議論は再燃する」 維新・医師会との力学で保険維持方針「OTC類似薬」は最終的にどう決着するのか

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 財政を圧迫する医療費を削減するため、かねて保険適用からの除外が議論されていたOTC類似薬(Over The Counter類似薬=市販薬と効能が似ている薬)。推進派の筆頭である維新が連立入りした一方、自民党の最大の支援団体の一つである日本医師会は反対を続け……。こうした力学を経て、「保険適用は維持された上で、患者に一定の追加負担を求める」という形でひとまずは決着するとみられているが、話はそう簡単なものではなく、今後も議論が続くのは必至だ。その論点と注目点について、業界を長年取材する記者が解説する。(前田雄樹/製薬業界専門メディアAnswersNews編集長)

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 OTC類似薬の患者負担増をめぐる政府・与党の議論が大詰めを迎えている。一時は「保険外しか!?」とも騒がれたが、厚生労働省は11月27日、保険適用を維持した上で患者に一定の追加負担を求める案を社会保障審議会(厚労相の諮問機関)の医療保険部会に提示。多くの委員が「現実的」と厚労省案を支持した。

 本件を巡っては、保険料負担の軽減を訴える日本維新の会が保険適用除外を主張してきた。与党側では自民、維新両党の実務者による協議が行われており、今後はその行方が焦点の一つとなる。政府与党は年内に方向性をまとめる方針で、厚労省は両党の協議も踏まえて部会で結論を出す。

 OTC類似薬とは、薬局やドラグストアで購入できるOTC(一般用)医薬品と有効成分や効能・効果が似た医療用医薬品(医師が処方する医薬品)のこと。解熱鎮痛剤ロキソニン、胃薬ガスター、アレルギー性鼻炎治療薬のアレグラやアレジオンなど、なじみの薬も多い。

 政府・与党がこれらOTC類似薬の患者負担増に動く背景には、増大する医療費の問題がある。医療技術の進歩や高齢化によって医療費は増加し続けており、物価高騰の中で重くのしかかる社会保険料への不満が現役世代を中心に高まっている。政府・与党は、OTC類似薬を含む社会保障改革を通じて公的医療保険の支出を抑制し、保険料負担の軽減を狙う。

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