「保険外しの議論は再燃する」 維新・医師会との力学で保険維持方針「OTC類似薬」は最終的にどう決着するのか
「維新の意向」と「医師会の反対」
OTC類似薬を巡る議論は今に始まったものではない。財務省の審議会や政府の経済財政諮問会議などでは10年以上前から検討されてきた。医師会をはじめとする医療関係団体や患者の反発が強く実現に至ってこなかったが、自民が国政選挙で立て続けに議席を大きく減らし、維新が与党入りしたことで一気に動き出した。
維新の意向が色濃く反映された連立合意書では、社会保障政策の最初の項目に「OTC類似薬を含む薬剤自己負担の見直し」が掲げられた。政府が11月に閣議決定した経済対策にも「25年度中の制度設計、26年度中の実施」が盛り込まれ、負担増は既定路線となった。
しかし、保険外しへの反発はやはり強かった。日本医師会(日医)は「強く反対」との立場を改めて示し、負担増による受診控えや副作用リスクといった問題点を説明するショート動画をYouTubeに投稿するなど、一般国民向けのPR活動も展開。患者団体からも反対の声が相次いだ。
日医の支持を受ける自民も保険外しには慎重で、維新との間には温度差があった。維新には保険適用維持を容認する意見がある一方、なおも除外を主張する声がある。上野賢一郎厚労相は28日の記者会見で、具体的な方針は何も決まっていないとした上で自維の協議も踏まえて対応する考えを示したが、調整は難航する可能性もある。
年内の“決着”後も議論は続く
仮に厚労省案で進むにしても、論点は山積みだ。追加負担を求める薬の範囲、追加負担を求める患者の範囲、追加負担の額などが焦点となる。
医療用とOTCでは有効成分が同じでも効能・効果や用法・用量が異なるものも少なくない。27日の医療保険部会では「差異に配慮しつつできるだけ範囲を広くすべき」との意見が出た一方、「外形的な基準で判断するのは困難。個々の薬ごとに丁寧に検討していく必要がある」との声も上がった。
患者の範囲について厚労省案では、配慮が必要な患者(=追加負担を求めない患者)として、18歳以下の子ども、難病などで公的な医療費助成を受けている患者、長期にOTC類似薬を利用する必要な患者、入院患者を例示している。部会ではこうした人への配慮に反対する意見はなかったが、長期に利用する患者の線引きの難しさを指摘する意見や、少額の負担を求めることにも議論の余地があるとの指摘が出た。
OTC類似薬は約7000品目あり、日本総合研究所の推計によるとその市場規模は1兆円に上る。対象となる薬と患者の範囲や追加負担額は、医療費削減の効果を左右する。医療現場からは制度の複雑化を懸念する声も出ており、政府・与党は難しい検討を迫られる。
今回、一定の決着を見たとしても、これで議論が終わるわけではない。今後も対象範囲の拡大や負担額の引き上げ、さらには保険適用除外が提起されるのは必至だ。
薬の負担を巡っては、昨年10月、安価なジェネリック医薬品があるにもかかわらず値段の高い先発医薬品を希望する患者に対し、差額の4分の1を追加で自己負担してもらう制度が導入されたが、早くも負担率の引き上げが検討されている。「OTC類似薬の保険外しの議論はいずれまた出てくる」。27日の部会では委員からこんな声が出た。
人口減少が加速する中、給付と負担の議論に終わりはない。
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