「報復は中国人の首を絞める」 在日中国人経営者は「会社の経営も危ないね…」 渡航制限で「8割以上がキャンセルに」

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「会社の経営も危ないね」

 インバウンドの客を対象として、関西圏を中心に複数のホテルや民泊施設を持つ中国人経営者に聞くと、

「中国のSNSでは渡航自粛が始まって以降、“日本は中国人を差別して危害を加える危ない国”なんて書き込みが多くありますが、そんなことはないと断言できます。ほとんどの日本人は親切で、暴力や暴言など直接的な差別を受けたことなどない。中国人は間違った情報を怖がり過ぎる。大陸から“高市さんの地元・奈良に行くとボコボコにされる”とのうわさまで流れてきた。同業他社のみならず、観光タクシーや中華料理店を営む同胞たちからも困惑の声が聞こえます」

 事実、中国政府の自粛要請は、日本にいる中国人を追い詰めているという。

「今月は8割以上、中国からキャンセルが出たね」

 と明かすのは、羽田空港で上海からの顧客を待つ中国系旅行会社のスタッフ。

「例年12月は日本に来る観光客が多いのに9割キャンセルになった。中国の政府やテレビが日本のよくない情報ばかり流して不安に思う人が多い。ウチの会社は結構大変ですよ」

 同じく羽田空港で北京からの顧客を待ち受けていた中国系旅行会社のガイドは、

「団体予約の8割はキャンセルでどうしようもない。会社の経営も危ないね」

 訪日を中止する客が多い大きな理由として、中国の航空会社が軒並みキャンセル料を無料にしたことが挙げられる。

「キャンセル料が支払われないと困る」

 11月24日、中国系メディアは中国と日本を結ぶ12の航空路線が全便欠航となり、日本行き航空券のキャンセルが約54万件に上ると報じた。

 愛知県蒲郡市の「蒲郡ホテル」専務・竹内佳子氏は、

「中国からのお客様だけで、年末を中心に2000人ほどキャンセルが出ています。昨今はバスの乗務員さんが稼働できる時間が法的に制限され、京都観光を終えて翌日に富士山へ向かうルートで1泊するのに、当ホテルがちょうど良い位置なのです。そのため15年ほど前から中国の団体客が増えていました」

 そこで問題となっているのが「キャンセル料」で、

「規模が大きい団体は2カ月前から頂戴しています。直近のキャンセルなら5割超を頂くので2000名分が支払われないと困る。今回は中国政府の要請でツアー中止になったので、お客さんへ請求できません。集客した中国の旅行会社なのか日本の代理店か……。どこへ請求書を送ればいいのか。皆さん負担したくないのでハッキリ言いません」

 やはり中国相手の商売はリスクを伴うのだ。他にも、2年前に福島第一原発の処理水を理由に中国が中止、今年6月に一部再開を発表した日本産水産物の輸入が、11月19日に再び事実上の停止となった。

 後編【賃金が上がらず失業率は上昇… 中国経済は「日本のバブル崩壊後のよう」 習近平は激怒でも「反日デモ」が起きない理由】では、中国経済の惨状と国民の不満について詳しく報じる。

週刊新潮 2025年12月4日号掲載

特集「日本を恫喝するならず者国家『中国』の扱い方」より

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