「報復は中国人の首を絞める」 在日中国人経営者は「会社の経営も危ないね…」 渡航制限で「8割以上がキャンセルに」
軍事的な威嚇まで
実際、中国の「反日運動」は、さまざまな場面でエスカレートし続けているのだ。
例えば中国駐日大使館はSNSで“尖閣諸島は中国固有の領土”と主張。中国の国内メディアでは中国人研究者らが“沖縄は日本ではない”と発言した。
また、来年2月に東京・上野動物園のパンダが返還されるのを見越して、中国共産党系メディア「北京日報」が「新たなジャイアントパンダの貸与を停止する可能性がある」と伝えた。
これだけではない。連日にわたり中国政府の報道官らは、日本に高市答弁の撤回を求めている。
国連では中国大使が「日本は安保理常任理事国入りを求める資格はない」と主張した。前出の中国大使館もSNS上で、
〈日本などが侵略に向けた行動を取った場合、中国など国連創設国は安保理の許可を要することなく、軍事行動を取る権利を有する〉
などと軍事的な威嚇を口にする始末なのである。
加えて、中国公安当局は国内の邦人に対し、スパイ行為を行えば拘束するとSNSで警告を発してもいる。
日中間の渡航制限
こうした事態を受けて、吉本興業は11月に予定していた上海公演を中止。ギタリストの高中正義も北京公演の延期を決めた。フォークデュオ・ゆずは、12月から香港、上海、台北で予定していたアジアツアーの全公演中止を発表している。
民間交流にも影響が及んでいるわけだが、そもそも中国が真っ先に日本への報復として繰り出したのが「日中間の渡航制限」だった。中国人が観光や留学目的で日本へ行くのを自粛するよう呼びかけたのだ。
表向き、中国外務省は「日本にいる中国人に対する犯罪が多発している」などと自粛を正当化したが、21日に日本の外務省は、中国籍の人が被害者となった凶悪犯罪の認知件数について、過去3年は横ばいであると反論した。
具体的には、殺人、強盗、放火の総件数は2023年で48件、24年45件、今年は10月までで28件。うち殺人は23年と24年が各15件、25年は10月までで7件しか起きていない。容疑者と被害者が中国人同士という事件も含まれていると聞けば、おのずと答えは分かるだろう。
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