「泉口友汰」と「根尾昂」 大阪桐蔭時代の“差”がプロでなぜ“逆転”したのか 泉口を覚醒させた「師匠」 根尾を迷走させた「指揮官」
セ・リーグ3位に終わった今季の読売ジャイアンツの中で、最大のブレイクを果たし、来季の「希望の星」となっているのが、プロ2年目の泉口友汰(いずぐち・ゆうた)内野手である。本人が「開幕2軍から始まったので全く自分でも想像できないシーズンでした」と言うのも無理はない。今季は4月から一軍に合流するとレギュラーの座を獲得し、リーグ2位となる打率3割1厘を記録した。守備でも遊撃手部門で守備率1位をマークし、ゴールデン・グラブ賞を受賞。チーム唯一のベストナインにも選ばれるなど飛躍の一年となったのである。泉口は名門・大阪桐蔭高校出身。高校時代はポジションが重なる一学年下の根尾昂投手(現・中日ドラゴンズ)と比べて決して目立つ存在ではなかったが、今やリーグを代表する遊撃手となった。他方の根尾は泉口より5年早くドラフトにかかり、鳴り物入りで入団したものの、今季もほとんどを2軍で過ごすなど、未だ結果を残せていない。両者の「逆転」の裏側にある「師匠」「指導者」の存在について探ってみた。
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クリーンナップにも起用
泉口は高校卒業後、青山学院大学に進学、主将を務めた後、NTT西日本に入社。2023年のドラフトで巨人に4位指名された。ルーキーイヤーは66試合に出場して打率は.201。しかし、今季はチーム最多の133試合に出場するなど、門脇誠を押しのけてショートのレギュラーを奪取した。打率.301はリーグ2位。パ・リーグを合わせても今季、打率3割を残したのは泉口を含む3名だけである。今年の巨人は貧打に苦しみ、クリーンナップの3番に起用される試合も多かった。「打てる遊撃手」として、チームのMVP級の成績を残したのだ。
もっとも、泉口の入団当初の評価は「守備要員」というもの。今季、守備での活躍に加え、打撃での覚醒を果たしたのは、本人が「師匠」と呼ぶ先輩の存在がある。このオフ、ポスティングによるMLB移籍を決断した岡本和真内野手の存在だ。泉口本人も「和真さんは、僕の師匠です」と言い切っている。
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