「泉口友汰」と「根尾昂」 大阪桐蔭時代の“差”がプロでなぜ“逆転”したのか 泉口を覚醒させた「師匠」 根尾を迷走させた「指揮官」
テストに合格
2人の縁は昨オフ、泉口が岡本の自主トレに弟子入りを志願したことだ。
「岡本は常に練習をしている泉口の姿をみて、自身がもっていた900グラムを超えるバットを譲ったといいます。多少重いバットでも泉口の練習量からすれば振り切れると思ったのです」(巨人担当記者)。
岡本の目は確かだった。キャンプの成果が出たのか、泉口は開幕から好調でレギュラーを奪取。5月には岡本は怪我で離脱したが、その間も泉口に対し、「LINEによる打撃講座」を行っていたという。
「面倒見のいい岡本へ“自主トレでの弟子入り“を志願する選手は巨人以外でもたくさんいます。もちろん誰でも参加OKではなく、その選手の普段の練習態度や資質などを見て、岡本自身が合否を決めるのです。泉口はこの厳しいテストに合格したんですね」(同)。
阿部監督にも
泉口がハマったのは、岡本だけではない。球団関係者が言う。
「監督に対してもそうです。今シーズン前、阿部(慎之助)監督は打者に対して、“振って振って振りまくれ!”“マン振りしろ!”との指令を出した。長打力アップとスイングスピードの向上を目指しました。それをチームの中で最も愚直に実行したのが、泉口でした。それが今シーズンの結果にも表れたので、監督の覚えもめでたい」
巨人はこのオフの補強第1弾で日本ハムから松本剛外野手をFAで獲得した。
「その人的補償で坂本(勇人・内野手)がプロテクトから外れるとの“噂”がまことしやかに流れているのは、既に泉口が将来的に巨人の内野の要となる存在として認められているからです」(同)
「控え」に回されたことも
泉口は、大阪桐蔭高時代、2年生の秋に遊撃手のレギュラーを獲得。3年春のセンバツで優勝、夏の選手権大会でもベスト16に進出している。
しかし、この当時の大阪桐蔭はタレント揃い。1学年下には、前述の根尾を筆頭に、翌年3球団競合の末、ロッテにドラフト1位で入団した藤原恭大、さらには、それぞれ巨人にドラフト4位、日本ハムに5位で入った横川凱、柿木蓮がいた。根尾は投手と野手の二刀流で活躍。野手として起用される時はショートが定位置のため、その場合、泉口は「控え」に回されることも少なくなかった。しかし、守備での安定感が評価され、夏の選手権時になると根尾を外野に回し、全試合に遊撃で先発出場するほどに。それでも、
「泉口は、根尾らの実力を見て、自分は高卒でプロ入りするのは無理と判断。大学、社会人で地道に力を磨きました」(前出・記者)
一方の根尾は、泉口の世代が卒業した翌年の甲子園で中心選手として史上8回目の春夏連覇に貢献。その年2018年のドラフトは、4球団(中日、巨人、ヤクルト、日本ハム)が1位指名で競合した末、中日への入団が決まった。根尾は岐阜県の出身だから、中日は地元とも言える。相思相愛でのプロ入りだった。
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