「泉口友汰」と「根尾昂」 大阪桐蔭時代の“差”がプロでなぜ“逆転”したのか 泉口を覚醒させた「師匠」 根尾を迷走させた「指揮官」
コロコロ変わる育成方針
プロでも“二刀流”の期待が集まったが、根尾本人が「ショート1本でいかせてください」と希望し、遊撃手でキャリアをスタートさせた。しかし、
「その後の歩みは“迷走”の一言です。当初は希望通りショートとして育てられていましたが、2年目になると外野手としても出場するように。が、打撃面で結果を残せなかった。すると、4年目の2022年、その年就任した立浪監督によってシーズン途中から再び遊撃手、それでもダメだと今度は“二刀流”、そして翌年には投手専業へと転向となったのです。しかしそれも芽が出ず、転向後4年間で一勝もできずに今に至っています。今になって振り返れば、高卒で入団したわけですから、同期が大学を卒業するまでの4年程度は、2軍に置いて基礎からじっくり育て上げても良かった。しかし、地元出身の甲子園のスターで、しかもドラ1で獲得したという事情があったからか、首脳陣が何とか早く1軍で試合に出そうと、育成方針をコロコロ変え過ぎた」(同)
今年は開幕2軍スタート。5月には1軍昇格を果たしたものの、20日のDeNA戦で5失点とメッタ打ちにされると登録を抹消され、その後は2軍暮らしを余儀なくされた。
「根尾自身は真面目で努力家で、頭も良い選手。運動神経も抜群です。芽が出ないわけはないのですが……。指導者との巡りあわせもよくなかった。立浪監督などは、球界NO.1の教え魔と言われていますが、彼の指導や方針が合っていなかったことは成績に表れていますよね。その前任の与田(剛)監督、後任の井上(一樹)監督も含め、ドラゴンズの育成方針が根尾にふさわしくないとの指摘はファンからも多く、今からでも現役ドラフトにかけて新天地に行った方が彼のためになるとの声も出ています」(同)
ちなみに、泉口を抑えて今季、セ・リーグの首位打者に輝いた広島の小園海斗内野手は、根尾と同学年で、甲子園でしのぎを削った(報徳学園高校)。前出の大阪桐蔭同期の藤原も、今季初めて規定打席に到達するなど、ロッテでレギュラー格の存在となっている。
年俸は5倍の差
11月27日に泉口は契約更改。3700万円アップの5900万円でサインした。一方の根尾は11月4日、200万円ダウンの1050万円でサイン。年俸でも5倍以上の開きが出てしまっている。
「来季、岡本はメジャーに行きますが、泉口は次の自主トレも岡本と一緒にやることが決まっています。一方の根尾は昨年に続き、チームの先輩の涌井(秀章)とキャンプを張るとか。これが良いきっかけになればよいですが、ただ、今季も結果を出していないだけに、同じやり方で良いのかどうか…」(同)
泉口と根尾。両者の“逆転”の系譜を見ていると、プロ野球選手にとって、先輩や指導者との巡り合わせの重要さがよくわかる。今季の根尾の奮起はなるか。
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