悠仁さまと昭和天皇に“共通点” 「韻」の秘話に込められた秋篠宮ご夫妻の想い
昭和の元号に換算すれば“昭和100年”という大きな節目となった2025年、皇室では40年ぶりとなる、男性皇族の成年式（成人式）が執り行われた。昭和天皇の裕仁という名前と、秋篠宮家の長男で、皇位継承順位第2位の悠仁さまの名前は、実は「ひろ・ひと」と「ひさ・ひと」で「ひ・ひ」、つまり「HI－HI」と同じ韻を踏んでいる。宮内庁関係者は「これは偶然ではなく、秋篠宮ご夫妻の新宮さま（新生児）への想いが込められたものでした」と証言する。では、その想いとはいかなるものだったのか。節目の年の最後に、考察する。
和歌やラップも
韻を踏むとは、複数の単語の母音を一致させることだ。例えば和歌なら、天武天皇が詠んだ下の句の「吉（よし）野 よく見よ よき人 よく見つ」など。現在であれば、ヒップホップミュージックにのせたラッブ調の歌詞が好例と言えるだろう。
秋篠宮ご夫妻が「韻を意識して命名されたようだ」と、悠仁さまご誕生から間もない頃に明かしたのは、宮内庁で全ての宮家のお世話を取り仕切っていた、日野西光忠宮務主管（当時）だった。
悠仁さまの命名の儀は2006年9月12日、入院先の愛育病院（当時の南麻布から現在は芝浦に移転）で行われた。ここで名前が正式に決まり、調度品や身の回りの持ち物を他の皇族方と区別するために使う「お印」も、高野槇（こうやまき）と決定した。男性皇族の名前は、下に「仁」の文字が付く漢字2文字が慣例だ。最初に仁を付けたのは、第56代の清和天皇とされており、悠仁さまも平安時代から続く伝統の習わしを受け継ぐこととなった。
悠仁という名前は、国語学者や漢学者の意見を参考にしながら、最終的には秋篠宮さまが上皇上皇后両陛下や紀子さまと相談の上で、決められたものだ。名前の選考は7月ごろに始まり、記録が残っている範囲内で、歴代天皇や男性皇族の名前に使われていない文字がまず前提とされた。
「悠」の文字には「ゆったりとした」や「長い」といった意味があり、「ゆったりとした気持ちで、長く久しく人生を歩んでほしい」との秋篠宮ご夫妻の願いが込められている。悠仁という名は後日、天皇と皇族の名前や誕生日を記載した一般家庭の戸籍に該当する「皇統譜」という簿冊に記入された。
皇統譜には、天皇と皇后に関する事項を記録する「大統譜」と、その他の皇族について記録する「皇族譜」があり、悠仁さまは後者に記載された。簿冊の正本は宮内庁書陵部、副本は法務省でそれぞれ保管されている。新規の登録は、書家や宮内庁職員が名前や生年月日、出生場所などを毛筆で記入し、宮内庁長官と書陵部長が署名を行う決まりだ。その後は成年式や結婚など節目の事項が書き加えられることになるが、天皇と皇族に戸籍法は適用されない。
一方、高野槇は和歌山の高野山に多い日本固有の直立する常緑樹で「大きく真っすぐ育ってほしい」との想いが込められた。こうした命名の経緯などは、宮内記者会記者室に隣接する会見室で日野西氏により説明が行われ、韻の秘話が明かされたというわけだ。
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