たしかにカワイイけれど…中国が振りかざす“パンダ圧力”への違和感 「天安門事件」「北京五輪」「反日デモ」と常にパンダを政治利用してきた中国外交のウラ側

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天安門事件と冷凍餃子中毒事件

「1981年に中国はワシントン条約に加盟したため、これまでのようにパンダを贈呈することができなくなりました。そこで中国はパンダを貸与し、レンタル料を受け取る方針に切り替えます。そして89年に天安門事件が発生すると、日本の世論は中国に厳しい目を向けることになりました。ところが1992年に上野動物園に『リンリン』が送られると日本の対中世論は軟化したという分析があります」(同・記者)

 2008年4月、上野動物園で飼育していたリンリンが慢性心不全で死亡し、上野動物園からパンダはいなくなった。

「この頃、日中関係は厳しい状況でした。2005年には四川、北京、上海で大規模な反日デモが発生。07年には中国製冷凍餃子中毒事件が発生し、翌08年にかけて日本人10人が健康被害を受けました。ところが中国は08年8月に北京オリンピックを控え、日本との関係修復を模索します。この年に当時の胡錦涛・国家主席は5月と7月に来日しましたが、その際に『上野動物園に新たなパンダを貸す』と表明したのです。結局、時間はかかりましたが2011年に『リーリー』と『シンシン』が上野動物園に貸与されました。しかし、日本の国内世論は無条件で歓迎したわけではありません。上野動物園と園を所管する東京都には『中国にパンダのレンタル料を払うのは反対』という抗議電話もかかってきたのです」(同・記者)

“パンダ外交”のブラックボックス化

 現在でもレンタル料を問題視する世論は少なくない。2011年に貸与された「リーリー」と「シンシン」にはレンタル料として年間95万ドルを支払う協定が結ばれた。

 2011年当時は円が強かったため年8000万円の負担だった。だが円安が進行している今のレートで計算すると1億4500万円を超える。(註2)

 それでも2020年、東京都は中国と「リーリー」、「シンシン」のレンタルを5年間延長する協定書を結んだ。

 そして延長が決まってから、協定の内容は公表されなくなった。都議会で質問が出たこともあったが、都は「守秘義務が課されている」と回答した。今やパンダの“ブラックボックス”化も進んでいるというわけだ。

註1:日本の最後のパンダ2頭が来年2月に中国に返還へ(人民網日本語版・11月20日)

註2:パンダの経費「守秘義務」 「レンタル料」非公開で透明性焦点 都議会答弁(産経新聞:11月15日)

デイリー新潮編集部

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