歌番組スタッフがこの冬「最も出演させたい歌手」とは 結成27年「週休2日」を宣言した異色デュオ
大晦日の「NHK紅白歌合戦」の出場歌手が発表された。3年ぶりとなる旧ジャニーズグループの復活、岩崎宏美、久保田利伸、TUBEなど周年記念アーティストの出場と話題もないではない。しかし、人選にインパクトが欠けるため、早くも視聴率が危ぶまれているという。そんな中、最も注目されているのが初出場の「ハンバート ハンバート」だ。
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今年のテーマは「つなぐ、つながる、大みそか。」だという。だが、民放プロデューサーがあきれ顔で言う。
「今に始まったことではありませんが、今年は特に昭和世代も知るようなヒット曲がほとんどない。誰もが知る知名度の高いアーティストも少ないため、昭和世代の注目度は特に低いと思います。aespa、CANDY TUNE、ちゃんみな、HANA、FRUITS ZIPPERなど初出場組は10組もありますが、これらは平成・令和の若い世代を取り込みたいという一心からの人選でしょう。しかし、『紅白』の視聴率を支えているのはあくまでも昭和世代です。これではとても“つなぐ、つながる”ことなどできませんよ」
昨年の視聴率は、前半34・2%、後半40・3%と、かろうじて目標の40%に乗った(ビデオリサーチ調べ、関東地区・世帯)。
「今年は演歌枠がさらに減り、選ばれた歌手も常連ばかりで新鮮味がありません。デビュー50周年の岩崎宏美(37年ぶり15回目)、40周年の久保田利伸(35年ぶり2回目)、同じくTUBE(27年ぶり3回目)といった周年記念組は、『紅白』以外の番組でも見られる顔ぶれですから、特別感やありがたみも薄いですね」
そんな中で注目されているのが「ハンバート ハンバート」だ。
メインボーカルを奪われる
「NHKの朝ドラ『ばけばけ』の主題歌『笑ったり転んだり』を歌っている夫婦デュオです。フォークともカントリーとも違うし、一般的なポップスとも言い切れない。ロック、ラップ、ブルース、ジャズでもないけれど、それぞれの要素が混じり合っているような不思議な世界観を持った2人で、初出場ながら結成から27年というベテランです。民放でも歌番組のスタッフの人気を独り占めしています」
ハンバート ハンバートは佐藤良成と佐野遊穂の夫婦デュオで、2人の間には3人の男の子がいるという。
「そもそも良成さんは大学時代にボブ・ディランなどのコピーバンドを組んでいて、彼がボーカルだったそうです。バンド名の由来は、ウラジーミル・ナボコフの小説『ロリータ』の主人公ハンバート・ハンバートからとったとか。そのバンドに小柄な女の子のコーラスを加えたらおしゃれになると思い、高校の後輩である遊穂さんに参加してもらったら、あっという間にメインボーカルを奪われてしまったそうです」
良成の歌声も渋いが、繊細で澄んだ遊穂の独特なボーカルは確かにインパクトがある。
「結局、就職などでバンドのメンバーが去ってしまい、2人が残った。デュオとなってからは下北沢(東京・世田谷区)のライブハウスなどを拠点に地道に活動を続け、2001年にインディーズでデビューしました」
05年にFMで流れた「おなじ話」でジワジワと人気が広がり、10年にはニチレイアセロラドリンクのCMソングとなった「アセロラ体操のうた」が話題となった。
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