これほど大化けするとは…「ドラフト6位」から成功を収めた“選手列伝”
ドラフトでは、上位指名選手が脚光を浴びる一方で、1990年代にはオリックス・イチロー、広島・金本知憲のようにドラフト4位から大出世した選手が多かった。2010年代以降も、日本ハム・近藤健介(現・ソフトバンク)、オリックス・山本由伸(現・ドジャース)が4位からの出世組だが、近年は球団によっては指名を放棄するケースがある「6位指名」から飛躍する選手も少なくない。【久保田龍雄/ライター】
松戸のダルビッシュ
まず2010年のドラフト会議で指名された選手では、横浜・福山博之、広島・中崎翔太の名が挙がる。
投手ながら50メートル6秒1の俊足を誇る福山は、DeNA時代の12年オフに外野手転向を断って自由契約になったことが、大きな転機となる。翌13年、楽天で22試合に登板し、右のリリーフとして頭角を現すと、14年は65試合に登板し、4勝2敗1セーブ23ホールド、防御率1.87を記録、オールスターにも初出場した。
その後も主にセットアッパーとして17年に開幕から36試合連続無失点を記録して“防御率ゼロ男”の異名をとるなど、通算17勝15敗9セーブ102ホールドを記録した。
一方、中崎は、1位指名で西武入りした兄・雄太ほど評価はされていなかったものの、15年に最速155キロの速球を武器に6月以降守護神に定着し、登板69試合で29セーブ、11ホールドと飛躍する。16年からの3年間で通算76セーブを挙げ、球団史上初のリーグ3連覇に貢献。今季は相次ぐ故障を乗り越え、登板51試合、3勝2敗14ホールド、防御率2.36と復活した。
2011年は楽天・島内宏明、日本ハム・上沢直之(現・ソフトバンク)が成功組だ。
明大時代の島内は、ドラフトの目玉・野村祐輔(広島1位)の陰に隠れていた感があったが、1年目から打撃センスの良さを発揮して準レギュラーに。19年には開幕4番を務め、21年に打点王、22年にリーグ最多安打に輝くなど、チームの中心選手になった。
一方、専大松戸時代の上沢は、187センチの長身から投げ下ろす最速147キロの速球と縦に割れるカーブを武器に“松戸のダルビッシュ”の異名をとった。
ドラフトでは「なかなか指名されなくて少し不安になった」と本人が回想するとおり、下位指名となったが、「“うわさわ”と(正しく)呼んでもらえるよう活躍したい」を目標に、14年に1軍デビュー、先発で1完封を含む8勝と急成長し、その後、メジャーに挑戦するほどの選手になった。
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