人生の成功者となった「山里亮太」と「若林正恭」 2人が改めて向き合う「たりなさ」とは

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2021年に解散

 お笑い界で長年語り継がれてきた伝説のユニット「たりないふたり」が、2021年の解散から4年半ぶりに復活することになった。南海キャンディーズの山里亮太とオードリーの若林正恭という、それぞれ異なるコンビで活躍する2人が組んだこのユニットは、単なる漫才コンビの枠を超えた特別な存在である。12月に収録が行われ、同月中に番組が放送されるのだという。【ラリー遠田/お笑い評論家】

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 たりないふたりの最大の魅力は、その圧倒的な正直さにある。2009年の結成当初、2人はコンビの中で地味な方だと認識されており、テレビでも思うように結果を出せていなかった。人見知りでひねくれた性格の彼らは、明るく華やかな芸能界の空気に馴染めず、人知れずストレスを抱えていた。先輩からの飲み会の誘いをどう断ればいいか、といった話で意気投合し、そんな自分たちの社交性が足りない部分をネタにして漫才を始めたのが、このユニットの原点である。

 最初の頃は、実力派漫才師である彼らが自分たちをネタにしてアドリブ要素のある新しい漫才を作っていくという正統派のお笑い企画だった。しかし、回を重ねるにつれて、ドキュメンタリーの要素が前面に出てくるようになってきた。

 それぞれの芸能界での地位が上がり、立場も変わり、プライベートでも結婚などを経験することで、少しずつそれぞれの考え方や生き方も変わっていった。それに伴って彼らの関係性も変化し、それが漫才やトークの内容に反映されるようになった。たりないふたりは生き様を見せるエンターテインメントへと進化していったのである。

 自分たちの「たりなさ」をネタにするのは一種の自虐芸である。特に山里は普段から自虐芸を専門にしており、自分の欠点をあえて見せることでいじられているようでいじらせているという高度な「関節技」で笑いを取ってきた。

 しかし、結婚を発表したあたりから、山里の自虐芸に世間から疑問の声が投げかけられるようになった。多数のレギュラー番組を抱え、誰もが知る有名女優を妻に持つ「人生の成功者」が自分を蔑むようなことを言っても、しらじらしく感じてしまう人がいるのも無理はない。

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