今田美桜の「3億円トラブル」を業界が注視する理由 「ケイダッシュグループとコトを構えるなんて、かつては考えられなかった」

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【前後編の後編/前編からの続き】

 大ブレイク女優に突如降って湧いた訴訟トラブルに業界の注目が集まっている。勢いに乗る新興事務所が、こわもての大手芸能プロを相手に約束した報酬の支払いを打ち切り、逆に裁判を起こされたのだ。芸能界の勢力図を塗り替えるやもしれぬ、騒動の意外な真相とは。

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 前編【「今田美桜のCM出演料3億円を支払え!」 所属事務所が訴えられていた 「『あんぱん』のヒロインに決定した頃から支払いが滞るように」】では、今田の所属事務所「コンテンツ・スリー」が大手芸能プロ「ケイダッシュ」グループの田辺音楽出版から訴えられた経緯について報じた。

 騒動のあらましは以下のとおりだ。

 2017年からコンテンツ社と田辺音楽出版の間では、「今田のCM出演料の3割を田辺音楽出版に支払う」との取り決めが交わされていたが、21年以降、コンテンツ社の水野英明代表(47)の要望で代理店とコンテンツ社の直接契約の形に移行。そのため、田辺側はCM契約の詳細を知るすべを失うことになった。

「訴訟に発展する端緒となったのが、昨年8月です。コンテンツ社が“提携契約は年内で終了する”との通知を田辺側に送ってきたのです。事前に相談もない突然の通告でしたが、実はそれ以前から、田辺側の不信感は膨らんでいたといいます。というのも、今田が『あんぱん』のヒロインに決定した昨年2月ごろから対価の支払いが目立って滞り始めたのです」(事情を知るプロダクション経営者)

 さらに別の問題も発生したという。

「契約終了通知を受け、田辺側がCM出演契約に関する情報開示を求めたところ、拒絶されたといいます。開示されないと、正確な未払い金額の算定だけでなく、これまで払われてきた額が本当に3割だったかの確認もできない。一切の交渉にも応じようとしないコンテンツ社側の対応に、まだ存命だったケイダッシュの川村龍夫会長も激怒したと聞いています。法廷闘争へ打って出た背景には、筋を通そうとしない水野代表に対する会長の抑え切れない怒りがあったといわれています」(同)

「事務所の大きさがモノをいう時代も終焉」

 今田といえば、今年上半期のテレビCM放送回数ランキングで、昨年1位だった綾瀬はるか(40)を抜き、女性部門のトップに立ったばかり。CM女王の座が近づくほど、田辺側にすれば本来受け取るべき未払い分が増えていく結果になった。

 芸能関係の契約問題に詳しいレイ法律事務所の河西邦剛弁護士が言うには、

「これまで対価を払い続けた実態があり、契約終了の通知をしていることから、コンテンツ・スリー側も契約の存在自体は認めていると推認できます。となれば、契約を終了するに当たり、支払いを拒める相応の理由や根拠が果たしてあったのかが争点になると考えられます」

 一方で、業界注視の今回のトラブルを複雑な思いで眺めるのは、さる芸能プロ幹部である。

「ケイダッシュグループとコトを構えるなんて、かつては考えられないことでした。バーニングと並び、ケイダッシュはその影響力から、多くの芸能事務所が何かにつけ頼りにしてきた存在でもあった。しかし23年1月、同社所属の俳優・渡辺謙(66)の独立を境に、同グループの影響力にも陰りが見え始めたとささやかれます」

 渡辺のハリウッド進出を全面的にバックアップしたのは、同社の川村会長だったが、

「大恩ある事務所からの独立に際し、会社側は当然反対したものの、最終的に認めざるを得なかったといいます。その2カ月後には、英公共放送BBCがジャニーズ事務所の性加害問題を報じ、芸能界のパワーバランスに変化をもたらした。にらみを利かす“業界のドン”や大事務所の存在感が薄れると同時に、事務所の大きさがモノをいう時代も終焉(しゅうえん)に向かい始めたのです。今回の訴訟沙汰は、従来の秩序が通用しない戦国時代へと、芸能界も突入したことを象徴しています」(同)

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