クロちゃんと盲目芸人の共演がなぜ“神回”に? 「水ダウ」がバラエティの枠を超えて感動を与えた理由
10個のドッキリ
11月12日放送の「水曜日のダウンタウン」(TBS系)で、安田大サーカスのクロちゃんと盲目芸人の濱田祐太郎が繰り広げたやり取りが話題になっている。この日の放送では「サイレントクロちゃん」という企画が行われていた。喉のポリープ手術で1週間発声禁止となったクロちゃんに対して、番組側が10個のドッキリを仕掛けるというもの。【ラリー遠田/お笑い評論家】
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【写真】「水濁ってるやん」「ブヨブヨの体」の声…水風呂に入るクロちゃん
その中で、声が出せない人間と目が見えない人間が同じ楽屋に置かれたら、どのようなコミュニケーションが成立するのか、という実験的な企画が行われたのだ。
最初は、クロちゃんが待機している楽屋に、付添人に導かれた濱田が入ってきた。この時点では濱田は部屋にいるのが誰なのかを知らされておらず、クロちゃんもたまたま彼のことを知らなかった。濱田は挨拶をしたが、クロちゃんは声を出して返事をすることができない。紙に文字を書いてそれを差し出したが、濱田の反応がないことに疑問を感じて、彼の名前で検索をして、濱田が盲目であることを知った。
その後、何とか意思疎通を図りたいクロちゃんは、濱田の呼びかけに応えようとする中で、机を連続で叩けば「イエス」、一度だけ叩けば「ノー」というルールを確立した。この過程が視聴者に驚きと感動を与えたのは、2人があきらめずに意思疎通の方法を模索し続けた姿勢にある。
さらにクロちゃんは、YouTube動画の音声を流すことで自分がクロちゃんであることを伝えることに成功した。そして、濱田の手のひらや背中に文字を書く「筆談」へと進んでいった。ここで「しゆじゆつ」「いつしゆうかん」といった言葉を背中に書かれた濱田は、クロちゃんが手術で1週間声が出ないことを理解した。
さらに、印象的なやり取りがあった。クロちゃんの声が出ないことに同情する濱田に対して、クロちゃんが「お互いがんばろうね」と書いたことに対して、濱田は「お互いって言いましたけど、俺、一生なんすよ。一緒にしないでくださいよ」と返したのである。自らの視覚障害をネタにしたこの発言は、彼らしい一歩踏み込んだ攻めの笑いを象徴するものだった。
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