高市政権の財源観は「非常に心配」 野田毅・元税調会長が指摘する「大失策だった政権」の名前

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高市政権への懸念は「財源論なき赤字国債の大量発行」

 高市首相は「経済あっての財政だ」と主張し、「責任ある積極財政」「経済と成長の好循環」を強調しています。賃金を上げて景気を良くしていけば財政収入も増えるから大丈夫だ、という論理です。人口減少が進み、先細り感の強い現代社会で、鬱屈とした感情を持っている国民に夢を与え、明るい将来を作っていくという意気は良いのですが、具体化はこれからです。冷静に見て、理想的な好循環が続くような国内的・国際的環境ではありません。反動が心配です。

 ユーロ圏では個々の加盟国が財政危機に陥っても、「最後の砦」として欧州中央銀行(ECB)があります。しかし、日本の場合、ECBに代わる存在に守られているわけではないので、ユーロに加盟していないイギリスのようにトラス・ショックを招く恐れがあるのです。

 その上で、高市政権における税制運営には、複数の深刻な懸念があります。高市首相は「国民目線の自民党税調にする」と述べ、小野寺五典税調会長にも税調のメンバーや運営方法を変えるよう指示したと報じられています。これは、これまでの自民党税調が国民目線から離れていたという認識を示唆しており、極めて強い違和感があります。

 高市内閣で森山氏が税調のインナーを断った事実は象徴的です。高市首相がイメージする党税調と、山中貞則氏の薫陶を受けた森山氏が考える党税調は全く違うのでしょう。森山氏としても、高市首相と一緒になって党税調の仕事をすることに違和感があるのは当然のことだと思われます。

 また、「ラスボス」と呼ばれ、さも経済状況の悪化を招いた張本人であるかのように攻撃され、会長職から退いた宮澤洋一氏も気の毒ですよ。

 高市首相の支持者には、参政党やれいわ新選組のように「消費税廃止」を掲げる勢力もあります。しかし、消費税をなくして財源をどう確保するのか、その説明責任を果たしていません。「民意だ」というだけでは無責任です。「消費税廃止」だけが民意ではなく、「将来さらに大変になる」と思っている人も沢山います。それも民意なのです。単純に消費税をなくせば家計が楽になるから良い、という話ではありません。財源問題抜きに国家の運営などできるはずがない。

 ただし、靖国問題において「行く」と言いながら実際には行かなかったように、高市首相がリアリズムの中でどう現実と決着をつけるのか、現時点ではまだ見えていません。高市首相がどんな経済政策を打ち出し、党税調はどう存在感を示すのか、分かってくるのはこれからです。

 日本の財政運営において、党税調は「国の根幹」を担う重要な機関です。その役割を軽視し、財源論を無視した政策運営を行えば、将来世代に取り返しのつかない負担を残すことになります。高市政権には、長期的視点に立った責任ある財政運営が強く求められています。

【プロフィール】
野田毅(のだ・たけし)
1941年、東京都生まれ。東京大学法学部卒業。1964年に大蔵省に入省。1972年、熊本県より衆議院議員初当選(以降、連続11回当選)。通産政務次官、衆議院商工委員長、建設大臣、自治大臣、国家公安委員長などを歴任。2009年から6年間にわたって自民党税制調査会長を務めた。

デイリー新潮編集部

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