高市政権の財源観は「非常に心配」 野田毅・元税調会長が指摘する「大失策だった政権」の名前

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小泉政権が逃した財政再建の「絶好の機会」

 小泉純一郎内閣時代(2001~2002年)は財政再建の絶好の機会でした。本来なら、この時期に最低でも消費税を10%程度まで上げるべきでした。しかし、その機会を逃したことで、伸ばすべき分野を成長させることができなくなりました。

 社会保障の安定財源確保のために消費税引き上げ、つまり、社会保障と税の一体改革に着手すべきタイミングであったにもかかわらず、小泉首相は「俺が首相でいる間は上げない」と、自分の人気取りを優先して消費税引き上げを先送りしてしまいました。この判断の歪みが今日まで続いているのです。

 国土強靭化にしても少子化対策にしても、結局、その後、社会保障に予算を食われてしまい、財源がなくて他の成長戦略に手を回せなかったのです。あのタイミングで手を打っておけば、日本の状況は全く違っていたはずです。

 さらに問題だったのは、小泉政権が年金の財源を借金して公費から投入することまで行ってしまったことです。これは将来世代への負担の先送りに他なりません。結局、消費税10%への引き上げが決まったのは野田佳彦内閣(民主党)時代であり、実施されたのは第二次安倍晋三政権の時代となりました。この大幅な遅れのしわ寄せが、現在の財政状況に全て押し寄せているのです。

 小泉時代から、大平氏、竹下氏、宮澤氏らが大切にしてきた財政重視の姿勢が失われていきました。これらの総理は財政を非常に大事にし、大蔵省を敵視することは絶対にありませんでした。しかし、小泉政権以降、その伝統が崩れ始めたのです。

現在のインフレ・円安の根源は安倍政権にあり

 現在の物価高の根源は、安倍政権の経済政策、いわゆる「アベノミクス」にあります。安倍政権の時代から、財務省を敵視する総理が生まれました。これは日本の財政運営における大きな転換点となりました。

 アベノミクスの最も深刻な帰結は、円安の進行です。円安が進んだことで、日本国民はますます貧しくなりました。円が安くなるということは、日本国民一人一人の価値が下がっているということに他なりません。これは単なる為替レートの変動ではなく、日本の国力そのものの低下を意味しています。

 安倍政権以降も、財政再建に向けて舵を切っているようには見えません。「増税メガネ」と言われた岸田文雄首相でさえ、ばら撒き政策を行ってしまいました。こうした政策は、現場にどれだけ大きな負担が来るかを考えずに実施されています。

 高市内閣になって気になるのは、アベノミクス路線を更に前に進めると主張していることです。「アベノミクスのブレーン」だった人達が今回、経済財政運営のブレーンとして位置づけられたのです。

 彼らは「赤字国債はいくら刷っても問題ない」という主張を展開しています。しかし、経済状況が変わってきているのに、アベノミクスをさらに加速させようとすることは、とんでもないことです。

 客観的にアベノミクスの何が良くて、何が問題だったのか、根っこから総括する必要があります。もはやインフレ時代に入っており、アベノミクスの時代とは経済環境が全く異なっているのです。にもかかわらず、その検証を怠ったまま同じ路線を継続しようとする姿勢は、極めて危険です。ツケは必ず弱い立場の人々に更なるインフレとして跳ね返ります。

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