「中国経済はバブル崩壊後の日本のよう」 習近平は激怒でも「反日デモ」が起きない理由 「報復は逆に中国人の首を絞めることに」
在日中国人を追い詰める結果に
事実、中国政府の自粛要請は、日本にいる中国人を追い詰めているという。
「今月は8割以上、中国からキャンセルが出たね」
と明かすのは、羽田空港で上海からの顧客を待つ中国系旅行会社のスタッフ。
「例年12月は日本に来る観光客が多いのに9割キャンセルになった。中国の政府やテレビが日本のよくない情報ばかり流して不安に思う人が多い。ウチの会社は結構大変ですよ」
同じく羽田空港で北京からの顧客を待ち受けていた中国系旅行会社のガイドは、
「団体予約の8割はキャンセルでどうしようもない。会社の経営も危ないね」
「日本のバブル崩壊後の様相」
居丈高に日本を非難する中国だが、その懐事情は、相当に厳しいという。
前出の峯村氏が解説する。
「中国の経済状況は、日本のバブル崩壊後の様相を呈していて、すさまじいデフレが進んでいます。例えば上海でビールを1本買ったら2本おまけで付いてくるなんてキャンペーンをやっている店もある。北京の銀行に勤める知人いわく、レストランで3000円分の食事をすると、次回使える同額の食事券をもらえる。2回目は実質タダなのです。もはや完全なデフレ経済に陥っていて、賃金が上がらず失業率は高い。就職率も悪く国民の不満がたまっている。習主席は台湾統一くらいインパクトのあることをやらないと、許されないくらい追い込まれています。そうした事情もあって、国民の不満が中国共産党に向かうのだけは避けないといけない」
ゆえに、12年に日本が尖閣諸島を国有化した時のような激しい反日デモは、今回起きない可能性が高いとして、峯村氏はこう続ける。
「その当時ですら、現地で取材していると反日デモのドサクサに紛れて“胡錦濤(こきんとう)は下野しろ”と訴える人がいました。今は中国の経済状況がかなり悪いので、政府はデモを許してしまうと、その矛先が習体制に向けられることを恐れています。あの時よりも日本への怒りは強いですが、徹底的にコントロールしてデモは起こさないようにすると思います」
11月27日発売の「週刊新潮」では、水産物の輸入停止などによって中国側が被る損失などについて詳しく報じる。
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