「僕は役者としてこの世で一番下手」 仲代達矢さんの謙虚な素顔 「朝8時撮影開始でも4時には現場に」

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“4年後は96歳だ”

 風間は5年前の一人芝居で、仲代さんを“登場”させた。

「主人公が三途の川を渡ってあの世に行くと、今までに亡くなった新劇の俳優たちが合同公演をやっている。看板には〈杉村春子〉〈北村和夫〉とそうそうたるメンバーの名前がある。その脇に“近日出演予定”として〈仲代達矢〉。そこで“仲代さん、まだお元気でしたか”とやったんです。もちろん、笑いをとるせりふでね。この芝居を仲代さんも見ていて、ニコニコ笑って“面白かったよ”と言ってくださいました」(風間氏)

 最後の面会は今年9月。

「僕が出演した舞台の楽屋にいらっしゃいました。そこで、渋谷の劇場・シアターコクーンが4年後に再開するという話になった。仲代さんは“4年後は96歳だ”“新しくなる劇場に立ちたい”と言っていたんです。仲代さんが90歳を過ぎても元気にやっていることで、とても励まされてきた。月並みですが、今は本当にお疲れさまでした、という思いです」(同)

 名優を迎え、あの世ではいよいよにぎやかな合同公演が始まりそうである。

 前編【裏社会の先輩から「役者になれば」と… 苦労人・仲代達矢さんのデビュー秘話 勝新太郎との決裂、和解の裏側は? 「二人は涙を流して抱き合った」】では、仲代さんのデビュー秘話、そして勝新太郎との決裂、和解の裏側について報じている。

週刊新潮 2025年11月27日号掲載

特集「追悼 仲代達矢 秘話で綴る役者人生73年」より

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