〈敗戦国には原爆を5発落とせばいい〉 中国で吹き荒れる日本への暴言 「駐大阪総領事は“ツイ廃”と揶揄されるほどのSNS中毒」
【全2回(前編/後編)の前編】
台湾有事を巡る高市早苗首相(64)の国会答弁をめぐって、中国側の“報復”が相次いでいる。日本への渡航や留学に自粛を促し、日本産水産物について事実上の輸入停止を通告したのに加え、中国商務省の何詠前報道官は、日本側が高市首相の答弁を撤回しなければ「断固として必要な措置を取る」と追加の報復措置にも言及した。一方、10月25日に中国・重慶で行われたフィギュアスケートグランプリシリーズ中国杯では、アイスダンスで中国のレン・ジュンフェイ、シン・ジャニン組の演技が終わると、こともあろうに大陸間弾道ミサイル「東風(DF)61」を模したぬいぐるみがリンクに投げ入れられるという「事件」も。こうしたなか、日本でも野党や大手メディア、一部のジャーナリストが首相批判の論陣を張っている。中国情勢や安全保障に明るい外交当局者、識者、さらに台湾有事に危機感を募らせる国境の島の首長たちに、高市首相の答弁についての考えを徹底取材した。
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【実際の写真】玉木雄一郎氏は「ハエ」麻生太郎氏は「サイコパス」 “高市たたき”をした中国総領事のトンデモ発言集
〈「存立危機」踏み越えた首相〉〈歴代首相は在職中の明言避ける〉と大きく見出しを打ったのは、今月8日付の朝日新聞だった。
当該の記事は、〈現役首相として中国を相手に集団的自衛権行使の可能性に踏み込んだ発言であり、今後の日中関係への影響も懸念される〉と書いている。
報道前日の7日、国会の衆院予算委員会に臨んだ高市首相が、立憲民主党の岡田克也元外相から「中国による台湾有事への対応」を問われていた。
その答弁で高市首相は、
「武力攻撃が発生したら、(日本にとって)存立危機事態にあたる可能性が高い」
と述べたわけだが、立憲をはじめとする野党、それに朝日新聞などの大手メディアは“踏み越えた発言だ”と批判の論陣を張ったのだ。
前代未聞の暴言
週明け10日の予算委員会でも、立憲の大串博志議員が首相答弁について「日本が戦争に進むかどうかの大きな論点」だとして、「踏み込んだ発言で他国の反応も懸念される」と、高市首相に発言取り消しを求めた。
確かに立憲や朝日が“予言”した通り、かの国は怒髪天を衝(つ)くありさまである。
中国政府外交部は、SNSで〈日本が台湾海峡情勢に武力介入すれば中国は必ず正面から痛撃を加える〉などとののしって、「高市発言」の撤回を求めたのだ。
看過できないのは中国の駐大阪総領事・薛剣(せつけん)氏が発した前代未聞の暴言だろう。
件の高市首相の国会答弁翌日、SNSで朝日新聞の速報を引用する形で〈勝手に突っ込んできたその汚い首は一瞬の躊躇もなく斬ってやるしかない。覚悟が出来ているのか〉と、投稿していたのである。
現役外交官が接受国のトップに“殺人予告”に等しい発言をしたとあって、日本側は中国の駐日大使を呼びつけて猛抗議。自民党からは国外退去を求める声まで上がる騒動に発展した。
当の総領事は、騒動後に問題投稿を削除はしたが、再び〈『台湾有事は日本有事』(中略)これこそ中国への立派な『脅迫』と『殺害示唆』〉とつぶやき、反省の態度を示してはいない。
“ツイ廃”と揶揄されるほどのSNS中毒
「50代半ばにして、薛氏はツイッター廃人、いわゆる“ツイ廃”と揶揄されるほどのSNS中毒ですね」
とは、薛総領事に取材した経験を持つノンフィクション作家の安田峰俊氏。
「4年前に大阪へ着任以降、彼はSNSに1日平均で100件投稿、朝6時から深夜12時までログインしていました。強い言葉をつぶやけば親中派の仲間が『いいね!』や、リポストをしてくれる。中国のように投稿が削除されることなく自由に発言できる。その面白さにハマったのでは」(同)
赴任直後から投稿内容は過激だったという。
例えば、国民民主党の玉木雄一郎代表については〈ハエがウンコに飛びつこうとする西側子分政治家〉とつぶやき、自民党副総裁の麻生太郎氏へは〈又もや暴言雑言吐いたか、この「新しい戦前」のサイコパス!!〉と毒づいていたとか。
「香港の民主派を〈駆除〉、ダライ・ラマ14世を〈農奴主〉などと呼び、当時のバイデン大統領の投稿にも批判的な引用リプライをつけていました。『マスゴミ』など日本の流行語も熱心に学んでいて、4年前に私が取材した際は『文春砲されないよネ?』とジョークを飛ばしていた。会ってみれば流ちょうな日本語を話す、とても紳士的なナイスミドルなのですが……」(同)
そんな総領事をSNS上で豹変させたのは、他ならぬ中国政府だったようで、
「西側諸国へ敵対的なメッセージを発信する『戦狼外交』を推奨する中国共産党は、世界に散らばる自国の外交官にSNSアカウントを作らせ、厳しい言葉を発信させていた。その中でも彼の過激さは群を抜く“暴言大王”でしたが、処分されることはなかった。過激な表現も中国政府が他国をののしる際に用いるもので、国際感覚の欠如を象徴する事態だと思います」(同)
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