原宿に来た2人の家出少女 雑踏で“白い手”に肩を触られ…翌朝、ホテルから幼馴染は消えていた【川奈まり子の百物語】

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白い手

 竹下通りの雑踏の中、リナは突然、肩を叩かれた。振り返りざまに耳もとで何か囁かれたせいで、貧血を起こしそうになった。

「今の何!? 痴漢!?」と真っ蒼な顔で言い、急に穂乃花にしがみついてきたので、何かと思えば、「外国語で何か言われた!」と騒ぐ。

 休日の竹下通りだ。外国人観光客は、なるほど確かに大勢いた。

 けれども、リナは穂乃花とくっつきあって歩いていたので、突然、誰かが接近してきたら、穂乃花も気がつきそうなものだった。

「気のせいじゃない?」

「ううん! 本当! 耳もとに息が掛かった! 気持ち悪い!」

「どんな奴だった?」

「男だと思うけど、手が物凄く白かった。一瞬チラッと見えただけだから、よくわからない。女かもしれない。どっちにしても肌が真っ白すぎて……オバケかな?」

「オバケなんているわけないよ」

 そう言って穂乃花は励ましたが、リナは本気で怯えて、肩を小刻みに震わせていた。

 やがて夜になると、2人はねぐらを探して手頃なビジネスホテルへ行った。

 フロントで年齢を確認されたときにはドキドキしたけれど、意外にもあっさりパスして、泊まることが出来た。そして、くっつきあって眠り、朝を迎えたのだが……。

不在の朝

「リナ?」

 穂乃花は目を覚ますと、リナの姿が見えないことに気がついた。

 呼んでも返事がない。バスルームやトイレにもいなかった。

 その時点では、まさかそれきり親友の行方がわからなくなるとは、穂乃花には思いも寄らなかった。

 しかし、リナのスマホに電話を掛けると、隣の枕の下で着信音が鳴った。

 では、このホテルのすぐ隣にあったコンビニに買い物に行ったのだろうと思ったが、見に行ってみたところ、リナはそこにもいなかったので、黒々とした不安が胸に広がった。

 時刻は午前七時。

 すっかり心細くなってしまったが、彼女は、なんとか冷静を保とうと努めて、コンビニからホテルの部屋に戻ると、リナの荷物を確かめた。

 2人とも、小学校の林間学校のときから使っているボストンバッグを持ってきていた。

 それらは、昨夜、最後に目にしたときと変わらず、2つ並べて窓際のテーブルの下に置かれており、弄られた形跡がなかった。

 バッグの中身もそのままだった。リナの財布も、盗んだタンス預金を入れたポーチも、ボストンバッグの底にちゃんとあった。

 ポーチの中身も、昨日使った分しか減っていない。

 ……と、いうことは、リナは間もなく戻ってくるつもりに違いないと思われた。

 だが、リナはホテルに帰ってこなかった。
 
 チェックアウト・タイムの午前11時が迫ると、穂乃花の心は千々に乱れた。

 リナが盗ったお金を自分の物にして家出を続行するか?

 それとも大人に相談するか……。それにしても、選択肢がいくつかある。

 交番に行く? それとも家に電話をかける?
 
 結局、彼女はもう1泊する手続きをし、部屋に備えつけの電話から自分の家に電話した。

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