市場が身構えるXデー 迫るトランプ暴落、AIバブル崩壊…12月FOMCが「奈落への引き金」か
株高に陶酔
やはりトランプ暴落が近づいているのか――。米国株式市場は上昇に上昇を重ね、熱狂に包まれている。多くの投資家が、AI関連大手企業への膨大な資金集中、関税政策による物価高、景気指標の不透明さなどの懸念材料は見ないふりをし、株高に陶酔してきた。だが、ここへきて徐々に雲行きが怪しくなりつつある。
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経済部記者が指摘する。
「米国最高裁がトランプ政権下の関税措置に対し、年内にも違法との判断を下す可能性が指摘されています。もしそうなれば、政権の求心力が低下し、政治的混乱が本格化するリスクがあります。トランプ関税が違法と判断された場合、政府には複数の代替措置がありますが、手続きや外交上の制約が大きく、簡単に元通りにはできないでしょう」
トランプ関税が発表されたのは今年4月。世界中を大混乱に陥れたが、2か国間の相互交渉が次々とスタート。日本は米国企業へ5500億ドル(約80兆円)の投資を行い、15%の関税を払うことで合意した。しかし、トランプ関税に違法判決が下ると米政府は徴収した関税について、多額の払い戻しを余儀なくされる可能性もあるという。
米共和党内でも「トランプ関税は国内物価を押し上げる」として異論が続出しており、トランプ大統領の支持率は10月から急落。大統領の政治的求心力の低下を背景に、「レームダック化が始まった」という報道が相次いでいる。ニューヨークダウやナスダックなど米株式市場も勢いを失ったように見える。そんな中、暴落リスクに決定打を与えそうなのが12月9、10日に行われる米連邦公開市場委員会(FOMC)の判断だ。
「市場が最も敏感に反応するのが金利政策です。雇用の悪化を背景に0.25ポイントの利下げが実施された場合、株価には追い風となります。しかし、利下げは需要を刺激し、ただでさえトランプ関税で上昇している物価にさらなる圧力を加えかねません。そのため、FRBは物価安定を優先し利下げに慎重姿勢を取らざるを得ないのです。
市場では12月の利下げ期待が後退しつつありますが、もしFRBが利下げを見送れば、依然として残る期待とのギャップから成長株中心に急激な売りが発生する可能性が高まります。AI関連銘柄は指数への寄与度が大きいため、売りが一気に波及し20%を超える大きな調整となる事態もありえます」(前出の経済部記者)
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