地銀の内定を蹴って独立リーグへ…異色の元NPB投手「寺田光輝」がドラフト指名されるまで 夢に近づくために「自分の長所を極限まで磨き上げた」

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地銀への就職から一転し、独立リーグへ

「野球部で活動しているうちに、『おそらく自分はプロ野球選手にはなれないだろう』と徐々に現実を受け入れるようになり、『とにかく地元に帰りたい』という思いで、就職活動を始めていました。最初に受けた三重県の地銀に、内定もいただいてたんですけど……」

 当時の助監督に進路決定の報告に向かうと、彼は意外な反応を示したという。

「僕が就職して地元に帰ることを伝えると、コーチが『もう野球をやらなくていいのか? お前は絶対に野球を続けた方がいいと思うから、もう一度よく考えろ!』と声をかけてくれたんです。当時の僕は、自分が到底プロのレベルに及ばないことを理解しつつも、伸び代や手応えを感じていて、野球に対する未練も残っていたんです。助監督の誘いに、最初はかなり迷いましたけど、結局そのオファーを受け入れ、野球を続ける道を選ぶことにしたんです」

 寺田が所属先に選んだのは、ルートインBCリーグ(当時、現在は日本海リーグ)に所属していた石川ミリオンスターズだった。近年はドラフト候補の輩出元先として存在感を示す独立リーグだが、待遇や連日に及ぶバスでの長距離移動など、過酷さが取り沙汰される場面もまだまだ多い。

ドラフト指名漏れで頭が真っ白に

「確か手取りは毎月12万円ほど。ただ、家賃も3万円ほどで、水道代や光熱費もさほどかかりませんでしたから、皆さんがイメージされているほどの困難はなかったと思います」

 そのような環境で1年目から存在感を示した寺田氏は、初年度の2016年にリリーフとして40試合に登板し、3勝1敗19S、防御率1.11の成績をマーク。意気揚々と臨んだNPB球団のトライアウトは不合格に終わったものの、プロ球団から届いた4通の調査書を目にすると、自ずと心は躍ったが……。ドラフトで寺田の名前が呼ばれることはなかった。

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